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2018 Fiscal Year Annual Research Report

免疫性自己核酸の細胞内制御機構の解明

Research Project

Project/Area Number 17J04765
Research InstitutionThe University of Tokyo
Research Fellow 中島 由希  東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
Project Period (FY) 2017-04-26 – 2020-03-31
Keywords自己免疫疾患 / RNA / 炎症性サイトカイン
Outline of Annual Research Achievements

当該年度において、核酸結合化合物であるKN69とその標的であるsnRNAについて研究を進めた。
KN69は、内在性RNAの関与が示唆される自己免疫疾患のマウスモデルで薬効を示し、in vitroではPolyU刺激によるマウス脾臓細胞の炎症性サイトカイン遺伝子誘導を抑制する。また標的snRNAは、マウス樹状細胞やヒトの末梢血単核細胞において強力にI型IFNを誘導し、さらにRNAが関与すると考えられる自己免疫疾患の患者血清中で有意に増加することが判明している。
そこで、標的snRNAの自己免疫疾患の病因・病態への関与を調べるため、作製が完了したミエロイド系細胞で特異的に標的snRNAを欠損するコンディショナルノックアウトマウス(cKO)の解析を行った。cKOの解析により、細胞内自己核酸がどのようにして強力な免疫応答を引き起こすようになるのかという当該研究の目的が明らかになることが期待されたため、重要であると考えた。
解析の結果、抗コラーゲン抗体誘導性関節炎(collagen antibody-induced arthritis: CAIA)で、標的snRNA cKOにおける病態スコアが有意に増加し足容積が増加すること、マイクロCTによる骨構造の観察で、標的snRNA cKOで骨破壊が亢進していることが分かったが、当初の予想とは異なるものであった。そこで標的snRNAのスプライシング調節機能を検討した結果、cKOのミエロイド系細胞で、LPS刺激によるTNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインの遺伝子誘導が顕著に増加しており、スプライシング調節機能の破綻が考えられた。
一方で、マウスの膝関節内に標的snRNAとその他のRNAを投与したところ、標的snRNA投与群で有意な関節腫脹が見られ、さらにKN69の投与によって腫脹が顕著に抑制された。この結果は以前のin vitroの結果と一致した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

標的snRNA コンディショナルノックアウトマウスの解析を行ったところ、当初の予想とは反するものの、興味深い結果が得られた。すなわち、抗コラーゲン抗体誘導性関節炎モデルにおける解析から、標的snRNAのスプライシング調節の破綻によって、関節炎が誘導されることが示唆された。これは当該研究の目的とは異なるが、今後の発展が期待される結果であった。
また、様々なRNAのマウス膝関節内投与の実験では、標的snRNA投与群で有意な関節炎が見られた。この結果は、in vitroで得られた結果と一致して、強い免疫原性を有することを示した。今後引き続き、どのようなメカニズムで、関節炎を誘導するのか検討が必要だが、一定以上の成果が得られたので、上記の評価に値すると考える。

Strategy for Future Research Activity

抗コラーゲン抗体誘導性関節炎モデルの結果は、当初、細胞外に放出された標的snRNAが、自然免疫系の細胞や滑膜繊維芽細胞の活性化を通して病態の悪化を促進するという仮説を立てていたため、標的snRNA コンディショナルノックアウトマウス(cKO)で悪化するという結果は予想していた結果とは異なるものであった。一連の解析により、cKOのミエロイド系細胞において、LPS刺激によるTNF-αやIL-6など関節炎の病態形成において重要であると言われている炎症性サイトカインの遺伝子誘導が顕著に増加していることが分かり、標的snRNAのスプライシング調節の破綻によって、関節炎が誘導されることが示唆されたため、さらにマイクロアレイ等で遺伝子発現を網羅的に解析する予定である。また、当初の仮説を再検討するため、作製が完了した標的snRNAトランスジェニックマウスの解析を進める。

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Published: 2019-12-27  

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