2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17J04949
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| Research Institution | Osaka University |
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Principal Investigator |
森本 智英 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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| Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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| Keywords | テラヘルツ / 半導体 / 磁気光学分光 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
研究員がこれまでに開発してきた円偏光テラヘルツ磁気光学分光を用いて、光励起した半導体の電子正孔ダイナミクスの解明にあたった。この分光法では、電子と正孔が共存する系でスペクトルのピークが異なる円偏光方向に現れる。この特性を巧みに利用すると、電子、正孔それぞれについてキャリア密度と散乱時間を独立して観測することができる。そこで本研究を基とした光ポンプ-円偏光テラヘルツプローブ分光法の開発、適用を行った。励起光としては、テラヘルツ分光に用いたファイバーレーザーの二倍波である532 nmのパルス光を用いた。+0.5 Tの印加時、0.65 THzに電子のサイクロトロン共鳴と一致するピークが見られた。一方で、正孔の信号は、電子の信号に埋もれて観測できなかった。この問題を解消するためには、強磁場を印加するか、精度を上げる必要がある。
強磁場印加時のテラヘルツ分光について経験を積むため、米国ライス大学に2か月ほど滞在して実験を行った。同大独自の30 Tのパルス磁場下でテラヘルツ時間領域分光を行える系を用い、磁性体であるYFeO3の測定を行うことで、強磁場実験のノウハウを学んだ。
これらの研究を通して、所属研究室での強磁場測定は難しいと考えたため、磁場変調分光を取り入れた高精度測定を行うこととなった。
上記の実験と並行してテラヘルツ波を用いた燃料電池材料の評価も行った。燃料電池では電子ではなくイオンがホッピングしながら伝導していく。これまでMHz以下の周波数におけるインピーダンス分光によってマクロなイオン伝導が評価されてきたが、ミクロな伝導を評価する手法はなかった。今回、このミクロなイオンのホッピングに相当するテラヘルツ応答を検出し、テラヘルツ波で燃料電池材料の評価ができる手がかりをつかんだ。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
円偏光テラヘルツ波時間領域分光法による物性評価の実験研究を進め、InSbの光ポンプ―テラヘルツプローブ測定に適用してリーズナブルな結果を得た。またその過程で、より高い磁場印加が必要であることを明らかとした。強磁場分光の手法を学ぶため、米国のライス大学に2か月ほど滞在した。強磁場測定のノウハウを学びながら、酸化物磁性体に関する初めてのデータを得るなど、研究上の成果も挙げることができた。新たに発見した共鳴状態の起源を明らかにするにはまだ追加実験が必要だが、期待以上の成果と考えられる。
また、自身の実験手法を燃料電池に用いられる固体電解質に適応させた。所属研究室は当該材料の物性研究に関する経験がなく、得られたテラヘルツ分光データの解釈には困難が伴った。しかし、得られた実験データに対して専門家の意見を伺いながら解析を進めることで、、専門の研究会で口頭発表を行うに至った。この成果は計画当時では予想していないものであり、期待以上の研究の進展があったものと考える。
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| Strategy for Future Research Activity |
磁気光学分光と磁場変調分光とを組み合わせて、装置の高精度化を行う。これまで磁場を印加する際にはネオジウム永久磁石を用いてきたが、磁場を変調するために永久磁石をフリップさせる装置を導入する、または電磁石に交流電流を流すことによって静磁場を交流磁場に置き換える。変調分光によってSN比の向上が見込め、より精度の高いテラヘルツ領域での磁気光学分光が可能となる。これによって、これまで測定できなかった、有効質量の大きいワイドギャップ半導体やp型半導体の評価を行う。
これと並行して、燃料電池材料のイオン伝導評価を行う。昨年、研究者はテラヘルツ波によってミクロなイオン伝導が評価できることを示した。測定試料は古くからイオン伝導知られ、応用もされている安定化ジルコニアを用いてきた。本年度は、本手法を一般化するため、その他の燃料電池材料について、同様の実験、評価を行う。
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Research Products
(4 results)
