2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J04978
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新居 舜 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 重力理論 / 観測的宇宙論 / 宇宙マイクロ波背景放射 / 重力波 / 銀河サーヴェイ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、宇宙の時空間構造の解明に向けた研究は、重力理論に潜む内部自由度の性質の理論的研究と精密化した天文観測によるデータが両輪となり、急速に進展している。現存するデータを調べると、一般相対性理論と概ね整合的であることが理解された一方で、宇宙の加速膨張が少なくとも2度起きているという観測的示唆は、一般相対性理論を超える重力の物理を考える大きな契機を与えている。加えて、重力波が検出されたことにより、重力理論は直接的に検証することができるようになった。こうした時流において、多角的な現象と観測事実を組み合わせて、重力法則および時空構造の理解を深めるべく、採用期間中に4編の学術論文を出版した。それぞれの概要は以下の通りである。
(1) 宇宙マイクロ波背景放射がほぼ黒体放射であるという事実から、重力が光子にエネルギーを渡す物理機構が10の-5乗の精度で観測的に制限される。(2)中性子星連星合体GW170817の観測で得られた重力波の伝搬測度が光速と10の-15乗の精度で一致しているという事実は、重力理論の内部自由度に対して厳しい制限を与える。(3)将来計画されている地上重力波検出器を想定すると、宇宙空間を伝搬する重力波の減衰率から、重力定数の時間変化は1%程度まで観測的に制限できる。(4) 局所ローレンツ対称性が重力的に破れている理論の一例(Horava-Lifshitz重力理論)を調べると、宇宙誕生初期のインフレーション期において、長波長における曲率ゆらぎが断熱的に保存する。
採用期間中に、名古屋大学・エディンバラ大学 ジョイントディグリー・プログラムに選抜され(国内初)、John Peacock教授とともに、全天の銀河観測データ(主に電波カタログ)から120億年ほど前の宇宙における重力法則を調べる研究プロジェクトを立ち上げた。研究成果は近日中に論文にまとめる予定である。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)