2017 Fiscal Year Annual Research Report
統合型公共交通システムと移動手段選択及び都市構造の相互作用に関する研究
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17J05096
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤垣 洋平 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | MaaS / 公共交通 / バス / タクシー |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の交通手段を一体的な料金体系・案内システムのもとで提供する「統合モビリティサービス」を対象に、そのサービスの状態と交通行動選択や都市構造との相互作用を分析するための手法を体系的に整理した。また、統合モビリティサービスが導入された場合の、移動の変化や利用意向に関するデータを取得するための調査やサービス体験実験を実施した。 統合モビリティサービスの分析のための手法として申請者らは、”Multi-Cycle Model”という枠組みを提案し、その計算例を示している。本枠組みは利用者と供給者の意思決定の相互関係を整理したもので、サービス設計や政策設計に活用できると考えている。本枠組みを適用した計算例としては、定時定路線バスと乗合タクシーを共存させる状況を評価した例や、個別事業者と統合モビリティサービス提供者の契約形態の影響を検討した例が既に存在する。調査・実験に先立ち、Multi-Cycle Modelを中心とした分析手法について、既存の文献等を整理した。 サービス体験実験では、岐阜県多治見市の住宅団地の居住者を対象に、バスとタクシーがほぼ乗り放題になる状況(それぞれ週28回まで利用可能な状態)を体験してもらい、その直前の期間と体験期間の移動状況を把握した。実験は、対象地域において公募した8名の実験参加者を対象として実施した。事前の記録期間と体験期間の移動実態を専用の記録用紙を用いて把握するとともに、実施前後でインタビューを実施した。この実験で得られたデータの基礎的な集計分析より、乗り放題によりタクシーだけではなくバスの利用回数も増加するという結果が確認できている。以上の調査データを用いた分析を平成30年度に進めていくことができる状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた調査実験を全て実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
具体的な地域において統合モビリティサービスが提供される状態を想定し、相互作用分析の枠組みMulti-Cycle Modelを用いた相互作用評価を行う。分析時には平成29年度に得られたデータ等を使用し、また必要に応じて追加調査を実施する。また、平成29年度に得られたデータをもとにした研究成果を、順次発表する予定である。
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