2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17J05263
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
下迫 直樹 上智大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 宇宙機 / 光触媒 / 真空 / 汚染 / 原子状酸素 / 電子線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,光触媒を宇宙機の汚染物質除去へ応用することを目的としている.そのために,(1)宇宙環境の影響評価,(2)宇宙環境へ耐性を持った光触媒の開発,を進めていく.29年度では(1)の研究を進めた.宇宙環境の中でも,①真空,②原子状酸素,③電子線が二酸化チタン光触媒へ与える影響を調べた.これらの宇宙環境の劣化因子が光触媒へ与える影響を詳しく調べた報告はほとんどないため,調べる必要があった. ①の影響を調べるために,真空中で試料の透過スペクトルが測定可能な真空装置を作製した.この真空装置を使用することで,大気環境に曝さずに真空環境下中で試料の透過スペクトルを測定することできる.この真空装置を用いて,真空中の二酸化チタン光触媒活性を調べた.その結果,真空環境下においても光触媒機能によって汚染物質の分解が進むことを明らかにした.しかし,その分解には限界があることがわかった. ②においては,二酸化チタン薄膜を真空環境下で原子状酸素を照射し,照射前後の影響を調べた.照射後の二酸化チタンの基礎物性はほとんど変化なく,光触媒活性も保たれていることがわかった.二酸化チタンは原子状酸素に耐性を持つことを明らかにした. ③においては,二酸化チタン薄膜を真空環境下で電子線を照射し,照射前後の影響を調べた.電子線においても二酸化チタンの基礎物性は変化がなく,耐性を持つことを明らかにした. これらの結果から,①,②,③の宇宙環境因子において,もっとも光触媒活性に影響を及ぼすのは,①であることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年度の研究方針であった(1)宇宙環境の影響評価を進め,3つの宇宙環境の劣化因子に対して影響を調べることに成功した.そのため,2の達成度であると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は3つの宇宙環境の劣化因子に対して影響を調べた.その結果,真空環境の影響が大きいことがわかった.30年度は,真空環境中であっても分解進む光触媒の開発を進める.まず,真空環境では分解進まない原因を詳細に調べる.構造が異なる汚染物質を分解し,汚染物質を構造による分解速度や分解プロセスを調べることで,原因を探る.次に,その原因をもとに光触媒を改良する.
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Research Products
(3 results)