2017 Fiscal Year Annual Research Report
MicroRNA-dependent cytokine production in group 2 innate lymphoid cell
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17J05293
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
籾内 義希 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | ILC2 / miRNA / 2型サイトカイン / アレルギー / TGFβ / miR-17-92 cluster |
Outline of Annual Research Achievements |
2型自然リンパ球(Group 2 innate lymphoid cells : ILC2)は2010年に当研究室から報告された新規免疫細胞サブセットである。ILC2は寄生虫感染やアレルゲン曝露によって傷害された上皮細胞から放出されるIL-33によって活性化され、多量に2型サイトカインを産生することで、抗原認識に依存しない2型免疫応答を引き起こす細胞であり、寄生虫排除や種々のアレルギー性疾患において中心的な役割を担う事が明らかにされてきた。その一方で、ILC2の2型サイトカイン産生を制御する細胞内分子メカニズムに関しては依然として未解明な部分が残されている。そこで、本研究では様々な免疫細胞でその分化や機能を調節する因子として注目を集めているmicro RNA(miRNA)に着目し、ILC2の活性化を制御するmiRNAを同定することを目的として実験を行った。 本年度はmiR-17-92 clusterに着目した解析を行った。まず、miR-17-92 clusterを欠損するマウスから得たILC2の2型サイトカイン産生能を評価したところ、miR-17-92 clusterの欠損によってIL-33刺激依存的な2型サイトカイン産生能が有意に低下することが明らかとなった。また、miR-17-92 clusterはTGFβ受容体や下流のシグナル伝達因子の発現を抑制することから、TGFβとIL-33の共刺激を行ったILC2の2型サイトカイン産生能を評価したところ、TGFβによってIL-33依存的な活性化が顕著に抑制されることが明らかとなった。また、miR-17-92 clusterを欠損したILC2のTGFβ受容体の発現量を評価したところ、miR-17-92 clusterの欠損によってTGFβR2の発現が増加することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はILC2におけるmicro RNAの機能に注目した研究を行い、miR-17-92 clusterの欠損によってIL-33刺激依存的なILC2の2型サイトカイン産生が優位に低下することを明らかにした。また、miR-17-92 clusterが機能する分子メカニズムとしてTGFβシグナリングに着目し、TGFβがIL-33刺激依存的なILC2の2型サイトカイン産生を抑制すること、miR-17-92 clusterを欠損したILC2ではTGFβ受容体の発現が増加することを明らかにした。これらの結果から、本年度は当初の計画通り、ILC2の活性化を制御するmiRNAとしてmiR-17-92 clusterを同定すると共に、その機能メカニズムがTGFβシグナリングの制御を介したものである可能性を示した。以上の理由から、本年度は当初の研究計画がおおむね達成できたと考えている。しかし、2017年12月に当研究プロジェクトと非常に類似性の高い論文(Singh PB et al. J Exp Med.)が海外のグループから先行して発表されたため、来年は研究計画を変更する。
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Strategy for Future Research Activity |
ILC2は脂肪組織や肺をはじめとする様々な組織に局在して組織特異的な炎症応答に寄与しており、骨髄においてもその存在が確認されている。しかし、骨髄に局在するILC2は成熟した細胞の指標とされているマーカー分子を発現していないことや、組織特異的な機能がほとんど報告されていないという背景から、一般的にはILC2の前駆細胞であると考えられている。しかし、当研究室では骨髄に局在するILC2が既に2型サイトカインの産性能を保持していることや、脂肪組織などの末梢の環境でILC2が分化できるという知見を得ており、骨髄に局在するILC2が単純な前駆細胞ではなく、何か骨に特異的な機能を有していることを予見している。また、当研究室でのFACS解析によって、骨髄に局在するILC2は定常状態で破骨細胞の分化を誘導するRANKLを発現する事が明らかになっている。これらの背景から、骨髄に局在するILC2が骨代謝制御に寄与している可能性を考え、以下のような実験を行う。 (1)マウス骨髄由来のILC2と破骨前駆細胞をin vitroで共培養して破骨細胞の分化が誘導されるか調べることで、骨髄ILC2が骨代謝を制御するポテンシャルを保持していることを示す。 (2)ILC2レポーターマウス(T1ST2-hCD2-YFP)を用いて骨内のILC2と破骨細胞のイメージングを行い、両者の骨内における局在を調べる。レポーターマウスは既に入手済みである。 (3)当研究室ではILCを含む免疫細胞を欠損したマウス(Il2rg-/-Rag2-/-)を保持しているため、この系統の大腿骨骨量をマイクロCTを用いて測定することで、ILC2が骨形成制御に関連している可能性を考察する。
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Research Products
(2 results)