2017 Fiscal Year Annual Research Report
政府機関における汚職と経済成長が相互に与える影響とそのメカニズムに関する理論分析
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17J05419
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
秋本 清香 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 汚職 / 経済発展 / 官僚 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績は、以下の4つにまとめられる。 (1) 個人の職業選択に着目し、経済発展と汚職の関係を分析した"Dynamic analysis of bureaucratic quality and occupational choice"を国際学術雑誌Journal of Macroeconomicsに掲載した。経済発展とともに、官僚になる個人のタイプが変化し、その結果、汚職の度合いが変わっていくという結果を得た。 (2) 汚職が経済発展に影響を与える経路の1つとして、新しく開発された財の審査と承認プロセスに着目し、経済発展と汚職の関係を分析するための基本モデルを構築した。この研究は“Examination and Approval of New Products in an Endogenous Growth Model”にまとめており、国際学術雑誌に投稿中である。 (3) 汚職が経済発展に影響を与える経路の1つとして、ゴミのリサイクル活動に着目し、経済発展と汚職の関係を分析するための基本モデルを構築した。この研究は“Transition from a Linear Economy toward a Circular Economy in the Ramsey Model”にまとめおり、いくつかの国際、国内学会で報告し、国際学術雑誌に投稿中である。 (4) 汚職の度合いと死亡率、出生率には相関関係があるというデータをもとに、汚職の度合いによって、死亡率と出生率が決定するというモデルを構築した。実証研究で示されている通り、発展途上国では汚職の度合い、死亡率、出生率が高く、先進国では汚職の度合い、死亡率、出生率が低いという結果を得た。この研究は“Corruption, Mortality and Fertility Rates, and Development”にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、開発された財の審査と承認プロセスに着目した研究(研究実績概要(2))において、理論モデルを用いた理論分析と実際のデータを用いた実証分析の2つを行うことを目標としていた。理論分析は論文にまとめたが、実証分析には取り組むことができなかった。 一方、職業選択に着目した研究を国際学術雑誌に掲載したこと(研究実績概要(1))、リサイクル活動に着目した研究を論文にまとめたこと(研究実績概要(3))、死亡率と出生率に着目した研究を論文にまとめたこと(研究実績概要(4))は、当初の計画以上の達成度であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画は以下の通りである。 1. 開発された財の審査と承認プロセスに着目した研究において、実証分析を行う。 2. 開発された財の審査と承認プロセスに着目した研究において、今年度構築したモデルは財の質を考慮していないため、各国における汚職の度合いと財の質の差を説明できていなかった。よって、財の質を考慮した新たなモデルを構築し、分析を行う。 3. 死亡率と出生率に着目した研究を国際学会、国内学会等で報告を行う。その後、国際学術雑誌に投稿する。
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Research Products
(9 results)