2018 Fiscal Year Annual Research Report
外付け耐震補強接合部における応力伝達メカニズムと力学的挙動を考慮した設計法の提案
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17J05503
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石田 雄太郎 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 外付け耐震補強 / 間接接合部 / 接合部材 / 複合応力 / 応力度分布 / シヤキー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年度に引き続き外付け耐震補強接合部に用いる接合要素の一つであるディスク型シヤキー単体の複合応力下における力学的挙動を把握するための要素実験と,1スパンの外付け耐震補強接合部の力学的挙動を把握するための増設スラブ架構の部材実験を実施した。 まずディスク型シヤキーの要素実験に関して,昨年度の要素実験からの変更点は,試験体パラメータに鋼製ディスクおよびアンカーボルトの径を加えた点と,付与する引張力のパラメータを変更した点である。今回,増設スラブ架構の部材実験は1/2スケールで試験体を製作して実施する計画であったため,1/2スケールのディスク型シヤキーの複合応力下における力学的挙動を把握するために鋼製ディスクおよびアンカーボルトの径をパラメータに加えた。また,昨年度の要素実験では,アンカーボルトの降伏耐力を基準に引張力のパラメータを決定したところ,埋込み長さが小さい試験体では載荷途中で引張力を保持できなくなる破壊モードが確認されたことから,今年度はディスク型シヤキーの引張耐力を基準にパラメータを決定した。その結果,ディスク型シヤキーの引張耐力に対して1/2程度までの範囲で,引張力を負担しながらせん断力も負担し得ることがわかった。また,いずれの試験体においても最大せん断耐力時の接合面の相対水平変位は,現行の設計法で制限されている2mm以下であることを確認した。 次に,要素実験の結果を踏まえて,既存梁,接続梁,増設スラブ,新設梁から構成される1スパンの増設スラブ架構の部材実験を実施した。増設スラブ架構の部材実験では,1スパンの外付け耐震補強接合部の相対鉛直変位の分布や,各接合要素に生じる接合面近傍のひずみ分布などを計測し,外付け耐震補強接合部の応力伝達メカニズムおよび力学的挙動を考察する上で有意義な結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,外付け耐震補強における1スパンの増設スラブ架構の部材実験を実施した。試験体は1/2スケールとしたため,増設スラブ架構の部材実験に先立って,1/2スケールのディスク型シヤキーの複合応力下における力学的挙動を把握するための要素実験も実施した。最終年度の課題である,外付け耐震補強接合部の応力伝達メカニズムや力学的挙動の解明に向けて有意義な結果が得られたことから,「(2) おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでに実施したディスク型シヤキーの要素実験を再現するFEM解析モデルを構築する。その解析結果より,部材内部の応力度分布や損傷状態を明らかにし,複合応力下におけるディスク型シヤキーの力学的挙動を把握する。次に,これまでに構築したあと施工アンカーとディスク型シヤキーのFEM解析モデルを基に,1スパンの増設スラブ架構の部材実験を再現するFEM解析モデルを構築する。解析結果より,各接合要素に生じる材軸方向の垂直応力度分布や,接合面近傍のコンクリートの最小主応力度分布を明らかにし,1スパンの外付け耐震補強接合部の力学的挙動を把握する。 最後に,これまでの実験および解析の結果から得られた研究成果を総括して,あと施工アンカーおよびディスク型シヤキーの複合応力下における力学的挙動と,外付け耐震補強接合部に生じる応力度分布を考慮した,外付け耐震補強接合部の設計法について検討する予定である。
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Research Products
(4 results)