2017 Fiscal Year Annual Research Report
高精度室内試験とエネルギー的観点に基づく複数回液状化特性の解明と予測手法の開発
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17J05565
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青柳 悠大 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 再液状化 / 砂質土 / 室内土質試験 / 多層リング単純せん断試験 / 非排水繰返し中空ねじり断試験 / 正規化消散エネルギー / 再液状化強度の予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで地震時の液状化調査によって,過去の液状化履歴が再液状化現象に大きな影響を与えると考えられているが,再液状化のメカニズムや影響要因は完全には解明されていない.液状化が複数回生じる際の砂質土の特性変化の把握,およびエネルギー的観点に基づく再液状化強度の予測手法の確立を目的として,乾燥砂での等体積繰返し多層リング単純せん断試験,飽和砂での非排水繰返し中空ねじり試験を系統的に実施した. 本年度は,これまで系統的に実施してきた等体積繰返し多層リングせん断試験の結果の分析を進めた.その結果,液状化過程中に消散したエネルギーは,各時点における平均有効主応力で正規化することにより累積ひずみとの関係が一意的になり,正規化していない消散エネルギーを用いた分析結果に比べて,再液状化強度の予測精度が向上することを明らかにした. 非排水繰返し中空ねじり試験では,複数回液状化試験を実施するにあたり,既存の中空ねじりせん断試験装置の載荷装置部分や制御プログラム等を整備・改良し,砂質土の複数回液状化特性の高精度な計測を開始した.予備試験を実施した際,液状化直後に排水状態にすると供試体に伸張履歴を与えることが明らかになったため,再圧密時に背圧をコントロールする等の工夫を施した.本試験では,主に初期条件(拘束圧,相対密度)を変えた系統的な試験を実施し,その実験結果を正規化消散エネルギーを用いて分析した.正規化消散エネルギーに基づく分析を行った結果,多層リングせん断試験の分析結果とは異なる傾向を示した. また,正規化消散エネルギーに基づく再液状化強度特性の定式化,初期せん断作用下における複数回液状化特性の把握,中空ねじり試験装置を用いた細粒分を含んだ複数回液状化実験等にも,共同研究者とともに取り組んだ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非排水繰返し中空ねじり試験を行うにあたり試験装置の大幅な整備・改良が必要であることが判明し,当初予定していた計画の「多層リングせん断試験装置での飽和状態の供試体を用いた複数回液状化試験」の実施および分析が未着手である.この未着手の検討事項は,当初の予定を見直して平成30年度の予定として実施予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
中空ねじり試験結果と多層リングせん断試験結果との比較や,飽和状態での多層リングせん断試験等により,乾燥砂での等体積繰返し多層リング単純せん断試験結果の妥当性を検証する.さらに,初期条件を変更した多層リングせん断試験を実施し,複数回液状化現象に与える支配的要因を抽出する.これらの検討結果に基づいて,最新の液状化履歴から今後の液状化特性を予測する手法を開発し,適用性の検証を行う.
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