2017 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction of Shape and Material of Objects based on Photometric Analysis using Images
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17J05602
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高谷 剛志 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 質感再現 / 光学特性 / デジタルファブリケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,画像による光学解析手法を用いて計測した材質特性をデジタルファブリケーション技術によって物理的に再現することである.本年度は,計測システムの作製および国際トップ会議での発表を目標としてきた.本研究における材質特性とは,視覚的質感に関わる光学特性を意味しており,それらの特性の形状依存性や波長依存性などの計測に取り組んだ. 当該目標に対し,波長依存性(分光特性)を計測するシステムを提案した.従来の分光特性計測には光学プリズムなどを用いるため,高価格となり,かつ計測に長時間を要した.これに対し,当該提案では,鏡と1種類のカラーフィルタを用いた安価なシステムで,ワンショット撮影によって分光特性を計測できるシステムを構築した.当該研究は,コンピュータビジョン分野における国際トップ会議の一つであるCVPR(IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition)(採択率29%)に採択され,今年度の目標の一つを達成できた. さらに,光を用いた形状計測手法の頑健性向上に取り組んだ.頑健性は材質の光学特性に大きく左右される.照度差ステレオ法は古典的な形状計測手法の一つであり,様々な方向から光を当てた時の陰影情報から形状を計測する.材質の光学特性によっては陰影の強弱が変化する場合や不可視となる場合があるが,遠赤外光を用いることがこの問題を解決した.当該研究は来年度CVPRへの採択が決定している. 全体的な流れを確認するため,計測システムの作製に注力しながらも出力システムについても検討した.視覚的質感の一つである半透明感を対象とし,様々な材質および立体形状に印刷可能なインクジェットプリンタ(UVプリンタ)による半透明感制御手法を提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標は計測システムの作製であったが,出力システムについても検討を開始できた点で期待以上の進展があった.当初の研究計画では,プロジェクタやカメラを用いて材質の光学特性に関する形状依存性や波長依存性を計測することを目標としていた.波長依存性を計測するためには分光計測が必要となるため,新しい分光計測装置の検討から始めている.従来装置は高価で長時間計測が一般的であったのに対し,低価格でワンショット計測という新しい装置を提案し,コンピュータビジョン分野におけるトップ会議であるCVPR(IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition)に採択されている.ゆえに,研究成果に対する国際的な評価は非常に高いと言える.また,産業応用にも積極的で,国内特許は出願済みであり,JSTの外国特許出願支援に採択されたため,今後,国際特許化することが決定している.アウトリーチ活動も行っており,JST主催のイノベーション・ジャパン2017を通して,複数の企業から技術活用についての連絡を受けている.一方,光学特性の一つである散乱現象の波長依存性についても基礎的な計測を行っている.また,形状依存性に関わる内容として,材質の光学特性に影響されない形状計測手法も提案しており,今年度の目標としていた項目については進展があったと言える.さらに,デジタルファブリケーション機器の一つであるUVプリンタを用いた半透明感の制御にも挑戦しており,今後の目標として挙げていた出力システムの検討を先行して開始している.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,視覚的質感の表現モデルの構築を目標としている.これまでに提案した計測システムを用いて,様々な材質を計測し大量のデータを収集することを考えている.表現モデルとしては,従来からコンピュータグラフィクスで培われてきたモデルがデジタルファブリケーションにおける出力に適用できるかを確認する.最終的な応用として,計測した質感をデジタルファブリケーションによって出力することを考えている.そこで,より多様な表現を可能にするために学習的な手法の導入を検討している.表現モデルが構築できれば,出力の質感をコンピュータ上でシミュレート可能となる.したがって,ある計測質感を再現するためにどのような構造およびパラメータによって造形を行えばよいのかを学習的アプローチで決定できるかを調査する. また,本年度に続き,計測システムの研究も継続が必要である.視覚的質感の重要項目は半透明感と光沢感であるが,現在,半透明感しか検討していない.そこで,今後は光沢感も含めて計測および出力手法の検討を行う.
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