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2018 Fiscal Year Annual Research Report

超新星残骸における被加速粒子の最高エネルギーと銀河系内宇宙線の起源の解明

Research Project

Project/Area Number 17J06025
Research InstitutionRikkyo University

Principal Investigator

辻 直美  立教大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2020-03-31
Keywords銀河宇宙線 / 超新星残骸 / 粒子加速 / X線観測 / ガンマ線観測
Outline of Annual Research Achievements

銀河系内の宇宙線は、超新星残骸の衝撃波面を拡散的に往復し、エネルギーを獲得したと考えられている。拡散係数の値は、粒子の加速効率に密接に関係しており、超新星残骸で達成される最高エネルギーを決める上でも非常に重要なパラメータである。本年度は、超新星残骸の拡散係数を観測的に推定した。具体的には以下の通りである。
一般的に広く受け入れられているBohm拡散を仮定し、超新星残骸RXJ1713の詳細なX線解析と、他の8つの超新星残骸を合わせた系統的な調査を行った。RXJ1713の0.5 keVから20 keVという広域X線スペクトル解析から、超新星残骸シェルの外側に位置する衝撃波近傍では加速効率が高いことを示し、内側の速度が遅い領域は加速現場ではない可能性を示唆した。得られた結果を国際雑誌ApJに投稿した。また、系統的な調査から、超新星残骸の進化が進むほど拡散係数が低く、加速効率が高くなることを観測的に初めて指摘した。以上の結果を、国内外の学会で発表した。
一方、X線解析と同様な方法を、ガンマ線スペクトルに適応することで、拡散係数を推定することも可能である。そこで、ガンマ線望遠鏡H.E.S.S.を用いたTeVガンマ線解析を行った。この際、従来の4つの望遠鏡に加えて、2012年に設置された一つの大口径望遠鏡を合わせたハイブリッド解析を行った。磁場が100 uG程度であれば、X線、ガンマ線から推定される拡散係数の値は同程度になることが分かった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成30年度の研究計画として、超新星残骸のX線データ解析による拡散係数の推定、HESSガンマ線望遠鏡を用いたTeVガンマ線データの解析方法の取得、という二つを大きく挙げていた。
X線解析については、Chandra衛星やNuSTAR衛星の観測データを解析した。特に、NuSTARの複雑なバックグラウンドを詳細に見積もった。さらに、若い銀河系内の超新星残骸を系統的に解析し、拡散係数の進化を観測的に初めて明らかにすることができた。
ガンマ線解析については、マックスプランク核物理研究所に二ヶ月滞在し、HESSの解析方法を学んだ。特に、大口径望遠鏡CT5を合わせたハイブリッド解析の解析方法も取得した。ガンマ線スペクトルを用いた拡散係数の推定を行い、X線スペクトルから得た値と比較することができた。
以上より、総合的におおむね順調に進展していると評価する。

Strategy for Future Research Activity

引き続き、X線とガンマ線のデータ解析及び、系統的な超新星残骸の拡散係数の調査を行っていく。

X線観測を用いた超新星残骸における拡散係数の進化について、今までに得られた結果を論文にまとめる。なお、この結果はBohm拡散を仮定したときのものであった。これまでに並行して、Bohm拡散以外を仮定した場合のモデルの構築を行ってきた。今後はこのモデルを観測に適応し、Bohm拡散の妥当性を評価する。
HESSを用いたTeVガンマ線解析を引き続き行う。現在までにHESSで撮られているデータを積算することで、統計の良いスペクトルを抽出することができる。また、今まで以上に細かい空間に分けてスペクトルを抽出することができる。このように、より詳細に空間分解を行うことで、X線との相関を調べることができる。また、TeVガンマ線から求めた超新星残骸の拡散係数の系統的な調査も行う。
以上で述べたように、X線ガンマ線観測から、超新星残骸の加速効率を系統的に調べ、結果を論文にまとめる。加速効率は超新星残骸における被加速粒子の最大エネルギーに関係しており、本研究により加速効率の進化が明らかになれば、超新星残骸の最大エネルギー問題に新たな知見を与えることができると期待される。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019 2018

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] NuSTAR Observations of the Supernova Remnant RX J1713.7-39462019

    • Author(s)
      Tsuji N., Uchiyama Y., Aharonian F., Berge D., Higurashi R., Krivonos R., and Tanaka T.
    • Journal Title

      Astrophysical Journal

      Volume: 印刷中 Pages: ー

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Presentation] 超新星残骸の非熱的X線観測を用いた衝撃波近傍の拡散係数の推定2019

    • Author(s)
      辻 直美
    • Organizer
      日本天文学会2019年春季年会
  • [Presentation] Nonthermal hard X-ray and TeV gamma-ray diagnostics of diffusion coefficient near supernova remnants shocks2018

    • Author(s)
      TSUJI Naomi
    • Organizer
      TeVPA2018
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2019-12-27  

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