2017 Fiscal Year Annual Research Report
圏論的モデル理論の新展開:分類トポスの手法、およびモデル理論の代数幾何化
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17J06041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒武 永史 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 圏論的一階述語論理 / モデル理論 / Boolean pretopos / 重み付き余極限 |
Outline of Annual Research Achievements |
主として、Boolean pretoposが成す2-圏BPretop*の構造(特に重み付き余極限)について調べた。これを調べることは、「理論のモデル理論的構成と分類(プレ)トポスの圏論的構成の対応を用いてモデル理論的現象を考察する」という本研究の大目標の1つを実現するための基盤となる。 当初は、2-モナドの理論を援用することでBPretop*における重み付き余極限の構成を試みたが、既存の方法では抽象的な構成しか与えられておらず明示的構成を得られなかった。そこでアプローチを変更し、修士論文で得られた「理論の双圏ThがBPretop*と双圏同値」という成果を用いることで、syntacticな方法で重み付き余極限の明示的構成を与えた。 次に、BPretop*における具体的な重み付き余極限、特に(錐形)フィルター余極限および2-余核についての考察を試みた。ここで、フィルター余極限および2-余核は、それぞれモデル理論におけるタイプや基本図式、および定義可能性定理と関係するため、本研究において重要な具体例である。残念ながら、当初の目標としていた「タイプや基本図式に対応するフィルター余極限の特徴づけ」や「2-余核のsyntacticな構成を用いた理論の拡大の特徴づけ」を完成するには至らなかった。しかし、分類トポスの専門家であるOlivia Caramello氏(イタリア・インスブリア大学)との議論を経て、本問題の解決の障害となっている純圏論的問題が明らかになった。今後も引き続き、この問題に取り組む。 なお、上述の修士論文で得られた成果については、国際学会TACL2017(2017年6月開催)にて発表済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は既存の2-圏論的/トポス理論的研究を利用することで、モデル理論的問題にアプローチできると予想していた。しかし、本研究から生じた多くの圏論的問題に対しては、先行研究を直接適用することができないことが判明してしまった。これらの問題を解決しようと試みたが、具体的な結果が得られなかったのが当該区分にした理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度の研究を通して、Grothendieck toposやBoolean pretoposが成す2-圏の構造について純圏論的な研究を行う必要性が生じた。Grothendieck toposが成す2-圏の構造については、本研究で調べているモデル理論的な側面だけではなく、幾何的側面とも関わりが深い。そこで今後は、幾何的な具体例での観察を通して、どの程度の条件をつければ目的の定理を示せるか吟味し、実際に純圏論的な証明を与えるための指針を得る。
上記の方針には多くの技術的困難が伴うことが予想される。そこで並行して、Caramello氏と共同で「位相亜群を用いた分類トポスの表現」について研究を行う。この領域はCaramello氏による数多くの先行研究が存在し、幾何的な応用も期待できる。また、共同研究で得た幾何的知見を先述の問題に還元できると期待している。
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Research Products
(4 results)