2018 Fiscal Year Annual Research Report
圏論的モデル理論の新展開:分類トポスの手法、およびモデル理論の代数幾何化
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17J06041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒武 永史 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 圏論的一階述語論理 / モデル理論 / Galois圏 / Lascar群 / 分類トポス |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度の主なテーマであった「Boolean pretoposがなす2-圏の構造」の研究からテーマを変更し、2018年度は「モデル理論的ガロア理論の圏論的解釈」について研究した。モデル理論におけるガロア理論的現象を調べるには、“Lascar群”と呼ばれるコンパクト位相群が重要な役割を果たす。特に、Lascar群の閉部分群と有界超仮想元の集合とのガロア対応が知られている。一方で、任意のコンパクト位相群はLascar群として表現できる。そこで、副有限群に対するガロア圏の理論の一般化として、Lascar群を圏論的に構成することを試みた。
ガロア圏的な構造から位相群を構成する様々な方法を比較・検討した結果、一般のコンパクト位相群を構成するような先行研究はなく、また既存の手法を拡張することも容易ではないことが判明した。その一方で、“トポスの基本群”の構成とNoohi-Bhatt-Scholzeによる“pro-etale基本群”の構成とが類似していることに気がついた。トポスの基本群は、位相群ではなくlocalic groupとして構成される代わりに、トポスの広いクラスに対して構成が可能である。pro-etale基本群は、圏に強い条件を課す代わりに、副有限群より少し広いクラスの位相群を構成できる。 これらの両者の強みを活かすことで、より一般の位相群を“圏の基本群”として構成することを試みているのが現状である。今後、分類トポスとの関連性を調べることにより、当初の目的である「スキームのガロア理論の一般化」といった問題に対しても有益な知見が得られると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
圏論的な部分で技術的な困難が多く、具体的な成果には未だ結実していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のトポスの基本群の研究と並行して、(Lascar群の商として得られる)副有限群に対応するガロア圏をモデル理論的に構成することを試み、限定的な形でも何らかの成果が得られるよう尽力したい。
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Research Products
(6 results)