2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17J06339
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
奥川 将行 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | アモルファス / シリコンゲルマニウム / 結晶化 / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
アモルファスの結晶化によって得られるナノ多結晶Si-Ge薄膜は幅広い応用が期待されているが,実用化のためにはガラス基板の軟化温度の550℃よりも低い温度で結晶化させる技術が求められている.我々は,アモルファスGeにおいて1-2 nmの結晶クラスター(MROクラスター)が起点となる結晶化では100K低い温度で結晶化が起こることを発見した [M. Okugawa et al., AIP Adv. 6, 125035 (2016).].Si-Ge合金でもアモルファス構造を制御することで低温結晶化させることができる可能性がある.そのための基礎研究として,アモルファスSi-Ge薄膜の結晶化をTEMを用いて調べた.アモルファスSi-Ge薄膜はSiターゲットにGeチップを載せてスパッタリングすることで作製し,薄膜組成をTEM-EDXによって測定した.薄膜組成とGeチップ枚数の対応関係を調べることで全組成範囲で組成を制御する条件を確立した.まず,50 at. % Ge薄膜を作製して加熱結晶化挙動を調べた.等速加熱すると600℃で試料の一部が結晶化し,200 nm程度の結晶粒子が形成した.等速加熱を続けると,750℃でその他の領域も結晶化し,10 nm程度のナノ多結晶相となった.SiとGeにおいては,MROクラスターが起点となる結晶化では数百nm程度の結晶粒子が形成する.Si-GeにおいてもMROクラスターが存在し,結晶化の起点となる場合には低温で結晶化することが示唆される.組成の異なるアモルファスSi-Ge薄膜も作製して加熱結晶化実験を行なったところ,Geを50 at. %以上含む薄膜でのみ結晶粒子が形成した.また,結晶粒子の形成温度はGe濃度が90 at. %で最小値を取り,400℃で形成する.アモルファスSi-Geの構造は組成に対して単調に変化しないことが予想される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していたアモルファスSi-Ge薄膜試料の作製法確立,および加熱結晶化挙動の透過型電子顕微鏡観察を行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,来年度は組成によるアモルファス構造の違いと結晶化過程を二体分布解析によって詳しく調べる.加えて,分子動力学シミュレーションによって実験結果と類似するアモルファスの構造モデルを作り,実験では得ることが難しい結合角分布や配位数分布などの構造に関する知見を得る.それにもとづいて結晶化挙動の検討を行う.
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