2018 Fiscal Year Annual Research Report
明治政治史の再構築―民力休養・対外硬路線に着目して―
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17J06899
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
久野 洋 神戸大学, 人文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 犬養毅 / 対外硬派 / 民力休養論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当初の研究計画にもとづき、中央政界における犬養毅の政治動向についての考察に多くの時間を割いた。 昨年度に引き続き、国立国会図書館憲政資料室、東京大学大学院法学政治学研究科附属近代日本法政史料センター原資料部、岡山県立記録資料館、岡山県立図書館、犬養木堂記念館、野﨑家塩業歴史館などで、犬養自身および犬養とつながりが深い政治家の関連史料を収集した。そのなかで、戊戌政変後に中国の政治家・活動家が犬養に宛てた書簡が少なからず存在することを確認し、それらの翻刻・分析作業を進めた。これは、犬養の対外政策構想の展開を、彼の政治的ネットワークと関連付けて検討する際の重要な基礎作業になる。以上の作業にもとづいて、明治中後期における犬養の政治動向と政策構想について検討した内容を、複数の学会および研究会で発表した。現在、そこでの批判を踏まえて、学術論文としてまとめているところである。 さらに本年度は、中央政界において犬養が属した対外硬派・進歩党系勢力の政治動向に関して分析することも課題とした。この課題の達成に向けて、京都府京丹後市教育委員会所蔵「稲葉家文書」に含まれる対外硬派に属した政治家の関係史料を悉皆的に収集した。かかる史料収集に立脚して、日清戦争後に対外硬派の政策構想が松方正義の健全財政主義に接近していく過程を解明し、対外硬派・進歩党系勢力の政治路線や党内構造を再検討すべきことを提起する論文を執筆した。この論文は、現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの調査と併せて、本年度の作業によって犬養が執筆した論説記事をかなりの程度把握し、また関連する新出史料を発掘することができた。これにより、当初の研究計画に掲げた、犬養毅の対外認識・対外政策構想の変遷を国内外の政治状況と関連させて明らかにするという本研究課題を着実に進展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、引き続き中央政界における犬養毅の政治動向について分析を進めたうえで、1~2年目を通じて得られた成果を総合し、論文として研究成果を公表するつもりである。複数の研究会・学会で積極的に報告をおこない、自説の再検討を続けたい。
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Research Products
(4 results)