2017 Fiscal Year Annual Research Report
2つの鉄原子が協働する新規二核不斉スピロイソシアニド鉄(0)錯体の設計とその応用
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17J06918
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮澤 拓 北海道大学, 生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 二核金属錯体 / 架橋配位子 / 鉄(0)錯体 / ルテニウム(II,III)錯体 / C-H官能基化反応 / C-Hアミノ化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の主目標であるスピロイソシアニド配位子を組み込んだ二核鉄錯体の合成を行った。はじめにスピロイソシアニド配位子の合成を検討した。所属研究室で確立された手法によりスピロ骨格を構築し、数工程の変換を経てメチルエステルをイソシアニドへと変換した。得られた各種キラルイソシアニド配位子を用いて、二核鉄(0)カルボニル錯体の調製を行った。 しかしながら各種条件検討の結果、これら二核鉄(0)カルボニル錯体を用いたC-H官能基化反応は進行しなかった。鉄原子を用いた反応は初期検討において難易度が高いと予想されたため、ひとまず別の金属原子をもつ二核カルボニル錯体を合成することで、その評価を行っている。また架橋された2つのイソシアニド基と金属原子の相性が悪く反応が困難となっている可能性も考えられたため、二核金属錯体の配位子として信頼性の高いカルボン酸、アミドを配位子として導入することで予備的な知見が得られるか幅広く検討を行った。 この検討の際に、新規キラル二核ルテニウム(II,III)錯体を合成し、X線結晶構造解析により構造を決定した。得られた錯体の不斉反応場の評価として、C-Hアミノ化反応を検討した結果、アミノ化体を高いエナンチオ選択性で得ることができた。本反応は二核ルテニウム(II,III)錯体を用いたラセミ反応がすでに報告されているものの、不斉反応の報告例はないため、キラル二核ルテニウム触媒を用いた初の不斉C-Hアミノ化反応である。 次年度は鉄原子以外にも様々な金属原子や、構造の異なる配位子を導入したキラル二核金属カルボニル錯体を用いて、C-H官能基化反応のより詳細な検討を行う。また当初予定していた反応とは異なるが、C-Hアミノ化反応において良好な結果をもたらしたキラル二核ルテニウム(II,III)錯体のさらなる適用反応系の拡大を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の主な目標である、二核鉄(0)スピロイソシアニド錯体を達成することができた。また芳香族C-H官能基化反応とは異なるが、新たにキラル二核ルテニウム(II,III)錯体を合成し、本錯体を用いた初の不斉C-Hアミノ化反応を達成した。以上の2点から当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
芳香族C-H官能基化反応においては、様々な金属原子や、配位子の構造最適化を行ったキラル二核金属カルボニル錯体を用いてより詳細な検討を行う。また不斉C-Hアミノ化反応において良好な結果をもたらしたキラル二核ルテニウム(II,III)錯体のさらなる適用反応系の拡大を目指すという、2点を並行して進めていく。
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Research Products
(1 results)