2017 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of phylogenetic evolution and species diversity for subfamily Aphodiinae
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17J07016
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柿添 翔太郎 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | マグソコガネ亜科 / Aphodiinae / コガネムシ上科 / 種多様性 / 系統学 / コガネムシ科 / Scarabaeidae / Scarabaeoidea |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、マグソコガネ亜科の分子系統解析を実施し、食性や生息環境といった生態的特性の違いが種の多様化に与える影響を検証することを目的としている。そのためには、DNA抽出用標本を収集し、整備することが必要不可欠である。そのため、2017年度は野外調査を重点的に実施した。具体的には、国内に加え、台湾、マレーシア、ケニア、マダガスカル、レユニオン、ラオスなどの国外で野外調査を行った。その結果、記載以後1例も記録のなかった種や、好白蟻性などの特殊な生態的特性を持つ種、未記載種と思われる種を含めた、300点を超えるDNA抽出用標本に加え、分類学的研究に用いる形態標本を数多く得ることができた。一方で、研究の遂行において重要な分類群の一部は今調査で得ることができず、次年度以降の課題となった。次年度はより適切な時期での調査の実施、調査地の改善、該当分類群に対する情報の蓄積を行い、この課題を解決する予定である。また、分類学的研究の情報収集のため、Bernice Pauahi Bishop Museum(アメリカ)、National Museum (チェコ)の2箇所を訪問し、所蔵標本の撮影や共同研究者との議論・情報交換を行った。 分子系統解析に関しては、国内に分布する分類群を中心に約30属のDNA抽出を済ませ、28S、18S、16S、COIといった領域を対象として分子実験を行った。しかし、サンプルの状態やプライマーの相性といった原因により、十分に配列を読むことができないサンプルも少なくなく、当初計画していたほど進めることができなかった。この課題は、質の良いサンプルへの代替や、各種条件を改善することにより、早急に解決する予定である。 また、本研究課題の内容の一部に関する解説記事(和文)を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
野外調査によるDNAサンプルの収集はおおむね順調に進展している。一方で、分子実験に関しては、サンプルの状態やプライマーの相性といった原因により、十分に配列を読むことができないサンプルも少なくなく、当初計画していたほどの進展は無かった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、初年度に得ることができなかったDNAサンプルおよび形態比較用標本の収集に加え、日本産の属および好蟻性・好白蟻性を中心とした属の系統的位置・関係の解明を主軸に、分子系統解析を進める。国外での野外調査に関しては、ケニア・タイ・マダガスカル・ペルーでの調査を計画している。また、分類学的研究のため、ヨーロッパの博物館(イギリス・フランス)への訪問を計画している。分類学的研究では、手元の未記載種の記載論文の執筆・出版も行う。
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