2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17J07092
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
吉野 徳晃 東京理科大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 走化性方程式系 / ロジスティック方程式 / 大域的存在 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は, 走化性方程式系を抽象的に定式化するにあたり, 自然な空間やノルムの設定を見出すために方程式の解析及び走化性を記述する項を扱うための手法の開発・検討を行った. この一環として, 放物・楕円型走化性方程式にロジスティック項を付け加えたモデルを考え走化性がどのように振舞うかを考察した. まず初めに, 弱解の正則性の観点からアプローチを行った. これに関してはNavier-Stokes方程式において用いられてきた弱解の特異点集合のハウスドルフ外測度評価の方法を応用し, 減衰を記述する項の係数に応じた特異点集合のHausdorff測度の上限評価に成功した. また, 特異点のHausdorff次元が極限として0になる場合において爆発現象との間に起こる関係を見出した. これらは国際会議「Equadiff 2017」において口頭発表を行った. 次に, エネルギー法の観点から解の存在条件の解析を行った. 結果としてこれまで知られていた解の存在のための条件を改良することに成功した. これらの一環として, 走化性項を扱うために有効な函数の分解方法及び評価手法を見出した. また, この結果は今後の研究を有効に進めるための指針として期待できる. これらの結果は研究集会「若手研究者による実解析と偏微分方程式」及び国際会議「Critical exponent and nonlinear evolution equations」, 「International Workshop on Mathematical Analysis of Chemotaxis」における招待講演の中で報告した. また, これらの研究集会において研究内容を進展させるための研究交流を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では, 走化性方程式系の解の存在について本質的な構造を見出し定式化することを目的としており, 平成29年度はその準備段階として走化性を記述する項がどのような振る舞いをするかを考察するため, ロジスティック項をつけた放物・楕円型走化性方程式系の大域解の存在について考察した. これについて, 弱解の正則性の観点とエネルギー法の観点から有意義な結果を得ることができた. 弱解の正則性の観点からの結果については, 当該モデルにおける特異点集合のHausdorff測度の評価はこれまで行われておらず, 有意義な結果である. また, エネルギー法の観点からの結果としては解の存在のための条件を改良することができ, この過程においてこれまで使われていたものとは別の新たな手法を考察した. この手法は今後の研究を進めるにあたり有効に働くと期待され, 大きな進展である. また, ロジスティック項をつけた走化性方程式系自体も, 多くの研究がある関心の高いモデルであり, 方程式自体の性質の解明も高く望まれているため, 今回得られた成果は有意義なものである.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は研究初年度の結果を放物・放物型の場合に拡張することができるかを考える. また, エネルギー法において得られた結果と考察を元に自然な空間やノルム等を設定し抽象的な定式化を考える. 必要であれば存在定理の改良も行う. また, そのための研究推進の方策として, 国内の研究集会や国際会議において関連する分野の手法を広く学び, 個人的な研究活動に加えて, 国内外の走化性方程式に関連するテーマで研究しているグループとの研究情報の交換や議論を進めたい.
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Research Products
(6 results)