2017 Fiscal Year Annual Research Report
天敵利用を目指したタマゴクロバチ科の種多様性及び寄主の解明
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17J07148
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
米田 洋斗 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 分類学 / 生物多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、種多様性の解明に焦点を置き、野外調査及び標本調査と、それらの調査で得られたサンプルの種同定に重点を置いて研究を行った。野外調査では、福井県(6/9-12)、鹿児島県沖永良部島(6/20-25)、同徳之島(6/25-7/1)、同奄美大島(7/1-8)、福島県(7/13-18)、岩手県(7/19-23)、長野県(7/29-8/3)、北海道(8/10-21)、高知県(9/6-9)にて調査を行い、イエローパントラップ、スイーピングによるサンプル採集を行った。また、台湾(5/7-21)でも野外調査を行い、日本産種との比較標本の収集を行った。標本調査は、名城大学(9/24-28)及び北海道大学(8/7-9)での調査を行い、これまでの調査で特に不足していた北日本のサンプルを借用した。 本年度の研究の結果、日本産タマゴクロバチ亜科については、クモの卵嚢寄生者であるダルマタマゴクロバチ族を除いて分類学的な整理は終了した。これまで日本産本亜科は13族32属67種が知られていたが、60未記載種と1族8属16種の日本未記録分類群を確認し、合計で14族40属141種となった。 ツヤタマゴクロバチ族では9属が確認された。本族に属する属のうちCalotelea属では、これまで7種が知られていたが、3種の所属変更と1種の同物異名を認めた。更に南西諸島より3未記載種を確認した。未記載種のうち2種は新大陸及びヨーロッパから知られていたocularis種群に所属すると考えられた。 ヘリカメタマゴクロバチ族は3属が確認された。ヘリカメムシ卵に寄生する事が知られるGryon属では、日本産既知種23種のうち同物異名4種、誤同定6種、所属変更3種を見出し、新たに9未記載種を確認し、4例の寄主を新たに記録した。未記載種には重要害虫に寄生する種と酷似した種が存在しており、本属の分類学的な問題点が浮き彫りとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標としていた形態形質による分類学的再検討については、一部の分類群を除き終了した。分子実験用サンプルについては、ある程度のサンプルを収集することができた。寄主解明についてはやや難航しているものの、カメムシ卵寄生蜂については一定の成果を上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、寄主解明と分子実験に重点をおいて研究する予定である。
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Research Products
(4 results)