2019 Fiscal Year Annual Research Report
共同の音楽行為と全体主義――ドイツ青年音楽運動の文化史的検討を中心として――
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17J07157
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
牧野 広樹 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 青年音楽運動 / 聴覚 / 共同体 / ゲマインシャフト / 音響メディア / ラジオ / レコード |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまで集めてきたドイツ青年運動文書館(Archiv der deutschen Jugendbewegung)所蔵の史料やその他史資料の収集と、これまでの発表の成果をまとめ、それらを論文化することに努めた。 まず、青年音楽運動における聴覚論に関して、ヴァルター・ヘンゼルとハンス・フライヤーを取り上げ、論文「青年音楽運動における聴覚論」に示した。この論文は、「聴覚/聴くこと」が彼らにとってどのような意味を持っていたかを探ることによって、彼らが青年音楽運動に参加した理由を探るものである。次に、青年音楽運動でも特に大きなグループ、「楽師ギルド」の参加者、フリッツ・イェーデ、ゲオルク・ゲッチュ、ハンス・フライヤーにおける共同体像に関して、論文「芸術的共同体――青年音楽運動における音楽実践の役割について――」に示した。この論文は、彼らの共同体像に「芸術」なるもののイメージがどのように表れていたのかを探ることで、「ゲマインシャフト(Gemeinschaft)」という一語では捉えきることのできない、多様な共同体像があったことを明らかにするものである。そして、技術論に関して、論文「青年音楽運動と音響メディア」に示した。この論文は、反近代的・ロマン主義なとされる青年音楽運動において等閑視されてきた技術、主に音響メディア(ラジオ・レコード)についての議論を、ドイツ青年運動文書館所蔵の史料から読み取り整理するとともに、それが運動にとって持つ意味を明らかにするものである。 本年度は、前年度からの目標であった、多角的なアプローチと幅広い人物を扱うことによって、多層的な青年音楽運動の様相を明らかにすることができ、最終年度としてふさわしい成果を上げることができたように思われる。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)