2018 Fiscal Year Annual Research Report
Potential Roles of Traditional Authority in a Resource-Rich County: Case of the Bunyoro Kingdom, Western Uganda
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17J07262
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大平 和希子 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 伝統的権威 / ウガンダ / 土地問題 / 地方分権化 / 資源開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ウガンダ西部ブニョロ王国を事例に、資源国において伝統的権威が果たしうる役割を検討することを目的としている。国家の土地政策および地方分権化政策は、本研究課題における分析主体である伝統的権威(ブニョロ王国)のあり方に大きな影響を与えていると考える。そのため、2018年度前半は、文献調査を通して、この2つの政策を理解し、それらがいかにブニョロ王国のあり方ひいてはブニョロ地域の変容にどのような影響を及ぼしてきたのかを考えた。この研究結果は、10月に韓国で開催されたアフリカ研究国際会議「The Different and The Similar: Africa in an Ever-changing, Multi-faced and Multi-layered World」(韓国語外国語大学校アフリカ研究所・ドイツバイロイト大学アフリカ研究所主催)にて発表した。また、同報告に基づく論文「Land and Decentralization Reforms in Uganda: The Way Forward to Protect Customary Land Rights」は、2019年度に韓国語外国語大学校より発行される論文集に収録予定である。この他、博士論文の構想や研究計画について、日本アフリカ学会第55回学術大会(5月26日から27日、北海道大学)においてポスター発表を行った。 さらには、2019年2月末から1ヶ月間、ウガンダに渡航し、フィールドワークを実施した。調査地であるホイマ県にて、ブニョロ王国の首相や大臣、地方政府の役人などキーインフォーマントにインタビューをすることができた。また、2つの村を調査地に選定し、村人が伝統的権威をどのように捉えているのかなど、個別インタビューを実施した。短期間ではあったものの収穫の多いフィールドワークになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年4月から10月は、文献調査を通して、アフリカ政治、平和構築論の体系的理解、特にアフリカ国家建設の観点からの調査・研究を進めると同時に、ウガンダの土地政策、地方分権化政策を理解し、ブニョロ地域の歴史と結びつけて考察を進める予定であった。上記研究実績に記載した通り、土地政策および地方分権化政策が伝統的権威のあり方を含め、ブニョロ地域に与えてきた影響については、ある程度考察が進んだ。 しかし、学会発表や論文執筆を通して、博士論文の構想は次第にまとまりつつあるものの、先行研究の読み込みが浅く、本研究の軸となる理論を立てられていないことは、依然として大きな課題である。そのため、2018年11月に予定していた、指導教員および他教員2名からなるプロポーザル・コロキアムでの博士論文構想発表を行うことができなかった。2019年7月にはプロポーザル・コロキアムを実施できるよう、計画的に研究を遂行したいと考える。 また、2018年1月から3月に予定していたフィールドワークは、概ね予定通りに実行することができたが、家庭の事情により、3ヶ月から1ヶ月に短縮になった。しかし、ブニョロ王国の主要メンバーやチーフなど、キーインフォーマントにインタビューを実施することができ、充実した調査となった。フィールドで得た情報をどのように分析するかについて、手法を改めて熟考する必要がある。 また、2018年度は、学会誌等への論文発表がなかったため、口頭発表のみならず、誌面での論文発表ができる力をつけられるよう、精進したい。
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Strategy for Future Research Activity |
4月:2018年度のフィールド調査で得られた情報をまとめる。30件近い個別インタビューの録音データを書き起こし、データとして分析できる状態にする。 5月から6月:2018年度の調査結果を基に、5月の日本アフリカ学会、6月の国際開発学会で口頭発表を行い、フィードバックを得る。こうしたフィードバックは、2019年度後半に予定しているフィールドワークに役立てる。また、論文指導ゼミに積極的に参加し、7月に予定している プロポーザルコロキアム(指導教員と他教員2名から成る研究計画発表及び審査の場)に向けて、指導教員並びにゼミ生からの指導を仰ぐ。プロポーザルコロキアムまでに先行研究を徹底的に読み込み、本研究の基礎となる理論を構築する。 7月:プロポーザルコロキアムでの研究計画発表。リサーチクエスチョン、リサーチ手法を明確にし、研究計画に沿って、さらなる文献調査並びにフィールド調査を実施できるよう、準備を整える。 8月から12月:プロポーザルコロキアムで得たフィールドバックを基に、主に文献調査を基に、本研究の基礎となる理論を見直す。また、2018年度に続き2度目となるフィールド調査では、どのようなデータが必要となるのか熟考し、調査票の質問項目および個別インタビューの内容を精査する。 1月から2月:ウガンダでのフィールド調査を実施。 3月:フィールド調査で得られた情報をまとめ、博士論文の執筆を開始する。
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Research Products
(2 results)