2017 Fiscal Year Annual Research Report
超対称性理論に基づいた宇宙のバリオン非対称性に関する研究
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17J07288
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早川 拓 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | バリオン非対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
超弦理論の低エネルギー理論としての超対称性模型は長寿命で対称性をもたないスカラー場を一般に含むことが知られている。このようなスカラー場をモジュライ場と呼ぶ。モジュライは宇宙初期において多量に生成され、ビッグバン元素合成に影響を及ぼして、元素合成理論を壊してしまう。宇宙のモジュライの密度は熱的インフレーションと呼ばれる宇宙の加速膨張機構によって十分に薄められることがわかっている。しかしながら、同時にそれまでに作られたバリオン非対称性をも薄めてしまうという問題がある。このモジュライを薄めることととバリオン非対称性の生成を両立できるかどうかが本研究で扱う問題である。
本年度は宇宙の温度が電弱スケール程度に十分に下がってもバリオン数を生成することができるという先行研究と熱的インフレーションを組み合わせることで、モジュライの密度を薄めた後にバリオン数を生成することができる模型を超対称性模型のもとで構築した。具体的には熱的インフレーションで導入されるフラトン場と呼ばれるスカラー場とヒッグス場を結合する。これによって熱的インフレーションが終了するときにヒッグス場のポテンシャルが急激に変わり、電弱相転移が起こるとともにヒッグス場が領域ごとに様々なトポロジカルに異なる配位をとる。ゲージ場がヒッグス場の配位に伴って変化するとともに、アノマリーを通してバリオン数が生成される。本研究ではフラトン場とヒッグス場が超対称性のもとで結合する素粒子模型を構築し、バリオン数を生むようなヒッグス場の配位をとれることを数値計算で確かめた。この研究により、モジュライを薄めてモジュライ問題を解決するシナリオにおいてバリオン非対称性を説明することができる可能性を示した。さらに、超対称性の枠組みにおいて低温度でバリオン数を生成することができ、CP対称性の破れを確かめる将来実験により本モデルが検証されうることも示した。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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