2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17J07349
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
桝谷 奎太 慶應義塾大学, 商学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 予算制度 / 利用スタイル / モニタリングの対象 / コントロールの様態 / 利用効果 / 文献調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度の研究活動のなかで、予算制度の利用スタイルの内容や役割、それがもたらす効果についての理論的検討の必要性を認識した。そこで当該年度(2018年度)では、そうした理論的検討を進めた。 理論的検討として取り組んだのは、管理会計領域と隣接領域の理論についての追加的な文献調査である。管理会計領域を対象とした調査からは、診断的利用に関する2つの利用スタイル(強制的様態の診断的利用、イネーブリングな様態の診断的利用)が、議論されてきた統制的役割と創発的役割、コントロール機能と影響作用因にそれぞれ対応していることが明らかになった。この発見は、コントロールの様態によって、診断的利用の役割や効果に違いが生まれる理由を説明可能にする点で重要である。 隣接領域を対象とした調査からは、心理学や情報理論、状況的学習論で得られた知見が、利用スタイルの内容・役割・効果の説明に有望であることが明らかになった。例えば、心理学におけるフィードバックや評価、コミュニケーションの内容に分析の主眼を置いている研究では、コントローリングとインフォメーショナルという属性によって、それらがもたらす効果に違いが生まれることが示されている。そうした知見は、概念的フレームワークにおいて設定しているコントロールの様態に深く関わるとともに、特定の利用スタイルがもたらす効果を個人レベルで説明することを可能にする。こうした理論的検討を他の理論でも同様に進めた。 2018年度に行ったインタビュー調査および郵送質問票調査は、こうした理論的検討なしでは適当に行うことはできなかった。この意味で、研究目的・研究系譜上、意義の大きい取り組みであったと認識している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度の研究計画として追加的に設定した管理会計領域および隣接領域を対象とした文献調査を予定通り完了することができた。2018年度の研究実施計画も予定通り進行できたため、おおむね順調に進展したと認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度に追加的に行った文献調査、および2018年度に行ったインタビュー調査、郵送質問票調査を踏まえ、今後は定量・定性的な知見の蓄積に努めることが欠かせない。具体的には、共分散構造分析を用いた実証的な分析と、追加的なインタビュー調査による現象面の理論的検討を進めたいと考えている。
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Research Products
(3 results)