2017 Fiscal Year Annual Research Report
自然資源管理を生み出す地域再編のあり方に関する環境社会学的研究
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17J07613
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金城 達也 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 自然資源管理 / 環境史 / 環境社会学 / 沖縄 / 奄美 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、沖縄・奄美の社会における自然資源管理にかかわる取り組みを事例に、地域社会の再編と自然資源管理の再構築との関係性を分析し、自然環境の持続的な管理に資する地域再編のあり方を検討することを目的とする。具体的には、沖縄県国頭村宜名真集落と鹿児島県奄美市打田原集落でのフィールドワークを軸に、聞き取りや参与観察、文献資料調査を実施し、そこから以下の3つに焦点を当てて研究を進める。最終的には、自然環境を持続的に利用していくための地域再編のあり方のモデルを構築することを目標としている。 1.地域社会と自然環境との関係がどういう歴史的な経緯を経て今に至っているか、その地域環境史を明らかにする。 2.地域社会がどう変動し、それに伴い「里山」や「里海」の管理がどう再構築されつつあるかを分析する。 3.自然環境の持続的な管理に資する地域再編のあり方を検討し、それをモデル化する。 2017年度は、とくに上記(1)地域社会と自然環境との通時的な関係性(地域環境史)に関する研究を中心に進め、8月に沖縄県国頭村、10月と3月に鹿児島県奄美市の現地調査を実施した。沖縄では、聞き取り調査を軸に参与観察を行い、あわせて文献・資料収集を行った。奄美大島でも同様に、聞き取り調査を軸にした調査を進め、文献・資料の収集・分析を行った。また、林業経済学会&コモンズ研究会共催の研究会にて、奄美大島の自然資源管理と地域再編に関する調査結果を報告し、その際、参加者と活発な意見交換を行い、本研究を進展させるうえで有意義な議論を交わすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定通り順調に進んでいる。2017年度は、3回の現地調査を実施し、地域社会と自然環境との通時的な関係性を明らかにするデータを収集し、また、文献・資料も読み込んでいる。そうして蓄積されたデータの整理・分析も進められ、それらのデータをもとにした研究報告を行うことで、これからの研究を展開するうえで有意義な議論を行うことができた。現在は、調査研究の成果を出すべく、現地調査で得られたデータを見直しながらさらに整理・分析を進め、書籍や論文としてまとめる準備を進めている。研究はおおむね順調に進んでいると言ってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度に引き続き、現地調査と資料収集を続ける。沖縄と奄美での現地調査を積極的に進め、同時に、関連する資料や文献を読み込む。現場からのデータと理論を往復することで知見を蓄積し、すでに収集したデータと今後得られるであろうデータを整理・分析し、ある程度分析が進んだら、積極的に学会発表および論文執筆を進めていくつもりである。
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Remarks |
金城達也、里山への働きかけを取り戻すしくみづくり―奄美大島打田原集落事業によるソテツ林管理の再構築―、林業経済学会&コモンズ研究会共催、2017年
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