2018 Fiscal Year Annual Research Report
Diachronic Study of Sinitic Languages
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17J07882
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
CORTICODOSSANTOS MIGUEL 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 漢語系諸語 / びん語 / 宣教に伴う言語学 / 言語史 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、主に以下の4項目から成る研究活動を行った。 1. 建寧語を中心としたびん北語の通時的研究に注力した。建寧語訳聖書の解読・分析を行い、今年度は『漢英建寧方言字典』を考究した。両文献を比較し、照らし合わせることで19世紀末の建寧語(びん北語)の特徴を抽出し、その音韻体系を推定した。また、建寧語の過去百年の変遷を整理し、そこから得られた知見を基にびん北祖語の再構を進めた。これらの研究成果に関しては日本中国語学会第68回全国大会(神戸市外国語大学)において「1896年印行建寧府的土腔羅馬字譯本《馬太福音》的音系」という題名で口頭発表を行った。 2. 夏季には明清期の官話についての調査を行い、官話がびん北語に与えた影響について、特に漢字音(文語音)と語彙面からの考察が進めた。 3. 冬季にトロント大学のThomas Fisher Rare Book Library、王立オンタリオ博物館のRichard Wernham and Julia West Libraryとカナダ聖公会のThe General Synod Archivesにて19世紀末の福建省西北部における布教状況や上述の両文献の編纂過程などについて文献調査を行った。 4. びん語諸方言に関する言語資料を蒐集し、各地点についてデータベースの構築を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会発表は一件のみであったが、近い将来にびん北語の通時的変化についての纏った研究成果を形にする予定である。それから、系統解析に必要な言語データを収集し、データベースの構築も順調に進められた。最後に、19世紀末期の文献の分析は、びん北語の言語史の解明のための大きな一歩である。
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Strategy for Future Research Activity |
蒐集した言語データに基づき、びん語各下位分類群について系統解析を行う予定である。ただし、従来の言語調査では漢字音を中心に記述が行われたが、読書音は必ずしも基礎語彙を反映しておらず、系統情報が低いため、必要に応じて確認調査を行う。
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Research Products
(1 results)