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2017 Fiscal Year Annual Research Report

高エネルギー分解能硬X線分光検出器によるトリウム229の核異性準位決定

Research Project

Project/Area Number 17J07990
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

村松 はるか  東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2019-03-31
Keywords超伝導型X線検出器
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、29 keVで10 eV以下の分解能を有するTESカロリメータの開発と229-Th異性体準位の決定に向けた予備実験を行なった。
TESカロリメータは、TES、吸収体、熱リンクから成り立っており吸収体が熱容量の大半を占める。また、TESカロリメータの分解能は転移温度と熱容量に依存する。10 eV以下の分解能を達成するには、転移温度160 mK、熱容量5 pJ/K以下が必要であり、素子の設計は吸収体サイズ300 μm角、吸収体の厚み 3 μmとした。そして、宇宙科学研究所でTESカロリメータの製作を行なった。製作した素子の転移温度、熱容量、原理的な分解能は165 mK、6.7 pJ/K、12 eVであり、設計と20-30%程度のずれがあったが概ね設計通りのものができた。さらにFe線源とAm線源を用いて分解能の評価を行うと、5.9 keVでは15 eV、26 keVでは20 eVの分解能であった。分解能を改善するために、熱容量や転移温度を小さくして原理的な分解能を下げ、性能評価を設計と製作にフィードバックし素子設計の最適化を行なっていく。
東北大学金属研究所でU線源を用いて実験を行なった。本試験では、4つ(29.19,29.39,42.43,42.63 keV)のエネルギーピークを検出し各エネルギーを正確に決定することを試みたが、一番強度の低い29.39 keVは検出できなかった。これは統計数不足が考えられるので、今後は複数素子の同時動作を行う。本試験での分解能は26 keVで30 eVであり、宇宙科学研究所の試験より劣化がみられた。これは吸収体以外に当たるγ線によるTESカロリメータの温度揺らぎが考えられるため、γ線を制限するコリメータの設計、製作を行う。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

29 keVで10 eV以下の分解能を有する素子の開発に向けて、熱容量を従来の5倍の5 pJ/Kとした素子の設計と製作を行うことができた。残念ながら分解能は26 keVで20 eVと目標値を達成出来ていない。測定した低エネルギーの分解能と原理的な分解能が同等であることを確認し、高エネルギーになるとTESカロリメータのエネルギー応答の非線形性から、分解能が劣化していることを確認した。そこで、原理的な分解能を10 eV以下となる素子を製作する。高エネルギーでの分解能の劣化はエネルギー応答の非線形性を解析的に改善することで抑える。このエネルギー応答の非線形性を改善する方法は、本年度考案しており、国際学会で発表済みである。
東北大学でU線源とAm線源を用いて試験を行い、26 keVで30 eVの分解能であった。分解能の劣化原因はTESカロリメータの熱揺らぎであることを突き止めた。また統計不足により検出すべき29.39 keVのラインが確認できなかったことも分かった。この予備試験から、熱揺らぎを抑える事と複数素子を動作させる必要性を確認した。

Strategy for Future Research Activity

29 keVで10 eVの分解能を有するTESカロリメータを開発する。そのために、吸収体のサイズを小さくして熱容量を小さくし、転移温度も低くして原理的分解能を10 eV以下で設計を行い、製作する。そして、Fe線源とAm線源を用いて5.9-26 keVで分解能を評価し、目標値を達成するように結果を設計、製作にフィードバックし素子の最適化を行う。
また、分解能の劣化原因であるTESカロリメータの熱揺らぎを抑えるために、コリメータの設計、製作を行う。U線源からは54 keVのγ線など高エネルギーのγ線も放射するため、コリメータの材質は原子番号の大きい金属を選択する。TESカロリメータが検出するγ線をモンテカルロ法を用いてシミュレーションを行い、コリメータの形状や設置位置を決定する。東北大学でコリメータと素子を組み合わせた状態でU線源を用いて試験を行う。そして229-Thから放射される29 keVの2本のγ線を分離し、異性体準位を決定する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] A Study of X-ray Response of the TES X-ray Microcalorimeter for STEM2017

    • Author(s)
      Haruka Muramatsu,T.Hayashi,K.Maehisa,Y.Nakashima,K.Mitsuda,N.Y.Yamasaki,T.Hara,K.Maehata
    • Journal Title

      IEEE TRANSACTIONS ON APPLIED SUPERCONDUCTIVITY

      Volume: 27 Pages: 4

    • DOI

      10.1109/TASC.2017.2661738

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] Development of TES microcalorimeters for 10-50 keV using a gold absorber2017

    • Author(s)
      村松はるか
    • Organizer
      17th international workshop on Low Temperature Detectors
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-12-17  

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