• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2017 Fiscal Year Annual Research Report

負重力屈性に関わる樹木細胞壁の形成メカニズム

Research Project

Project/Area Number 17J08050
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

平出 秀人  京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2020-03-31
Keywordslaccase / lignification / compression wood / reaction wood / cell wall / Cryptomeria japonica
Outline of Annual Research Achievements

樹木が負の重力屈性を発揮できるのは、特殊な二次木部「あて材」を形成するためである。私は、ヒノキのあて材で特異的に働く遺伝子CoLac1を見出した。遺伝子CoLac1にコードされたラッカーゼの働きは、あて材細胞壁へのリグニン堆積であると考えられた。あて材の二次壁にはリグニンが局所的に堆積し(この領域をS2Lという)、これが負の重力屈性を発現させるための力を生み出すと考えられている。したがって、CoLac1にコードされたラッカーゼが負の重力屈性の発現に不可欠であると予想する。本研究では、CoLac1の発現を抑制した形質転換体(RNAi法)を用いて、CoLac1の働きがS2L形成であると証明する。さらに、S2Lが変異したあて材を用いて、S2L形成が「枝や幹を持ち上る力(圧縮成長応力)」の発生要因であると実証する。
スギでは個体再生能力の高い培養細胞系が確立しており、ヒノキより組換え体の作出を短期間で行うことができる。そこでスギの圧縮あて材特異的なラッカーゼ遺伝子(CjLac1という)を抑制した組換え体を作出する。組換え技術を提供していただく共同研究者と検討し、RNAi発現コンストラクトは複数準備することにした(合計4パターン)。プロモーターは、どの組織でも恒常的な発現が期待できる35Sプロモータと、あて材分化特異的な発現が期待できるCjLac1自身のプロモータである。CjLac1自身のプロモータは、CjLac1翻訳領域の上流(およそ2kbp)をTAIL-PCRで増幅し、その配列情報を得た。RNAiトリガーの長さは156bpと312bpとした。
今年度、上記のRNAi発現コンストラクト(4パターン)を構築し、アグロバクテリウム法を用いてスギ組換え体の作出を試みた。いくつか組換え体が得られたので、CjLac1発現が抑制された組換え体を選抜する予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

スギでは個体再生能力の高い培養細胞系が確立しており、ヒノキより組換え体の作出を短期間で行うことができる。そこでスギの圧縮あて材特異的なラッカーゼ遺伝子(CjLac1という)を抑制した組換え体を作出した。組換え技術を提供していただく共同研究者と検討し、RNAi発現コンストラクトを複数準備した(合計4パターン)。
RNAiトリガーの長さは156bpと312bpとした。短い方が標的遺伝子に対する特性が高くなるが、長い方が高い発現抑制効果が期待できる。プロモーターは、どの組織でも恒常的な発現が期待できる35Sプロモータと、あて材分化特異的な発現が期待できるCjLac1自身のプロモータを使った。35Sプロモーターは一般に良く使われる高発現プロモーターであるが、スギでは実例が少なく、分化中木部で十分機能する確証がない。CjLac1自身のプロモーターはうまく働けば、CjLac1が発現するタイミングでRNAiを誘導することができる。CjLac1プロモーター領域のクローニングのために、CjLac1翻訳領域の上流をTAIL-PCRで増幅してその配列を読み、およそ2kbpをプロモーター配列とした。さらに、クローニングしたCjLac1プロモーターが働いていることを確認するために、CjLac1プロモーターにGUSレポーター遺伝子をつなげたコンストラクトも準備した。
今年度共同研究先へ出向き、スギ培養細胞からの個体再生法と組換え体作出法の指導をしていただいた。組換え体作出の実験を試み、1コンストラクト当たり1-2つの組換え系統を得た。

Strategy for Future Research Activity

RNAiによる遺伝子発現抑制法では、組換え系統ごとに発現抑制効果がばらつくことが知られている。したがって、十分にCjLac1の発現が抑制されたスギをえるために、1コンストラクト当たり10系統の組換え体を得たい。今後、遺伝子組み換え体作出の実験を繰り返し行う予定である。
得られた組換え体(不定胚形成細胞)は、順次個体再生を誘導する。不定胚の誘導に2か月間、発芽させて実生(高さ2cm)まで生育するのに2か月間を要し、二次木部を観察できるほどに生育するまで合計で半年以上を要する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] スギ圧縮あて材細胞壁の形成に関わるラッカーゼ2018

    • Author(s)
      平出秀人 粟野達也 吉田正人 山本浩之 高部圭司
    • Organizer
      第68回日本木材学会大会(京都大会)

URL: 

Published: 2018-12-17  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi