2017 Fiscal Year Annual Research Report
中期ビザンツ文化圏における内接十字型の架構形式にみる建築構成の系譜と「地域」性
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17J08407
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
樋口 諒 東京工業大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | ビザンツ建築 / キリスト教建築 / 架構 / 内接十字型 / 教会堂建築 / 建築構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本調査研究の初年度に当たる平成29年度は、国内および国外の既往研究を収集し、既往研究中の記述、写真、および図面を確認した。資料によって遺構の情報量に相違がみられることから、研究対象地域のうち相対的に情報量の少なかったバルカン半島を中心に9世紀から12世紀のビザンツ時代の教会堂の現地調査、および関係資料の収集を行った。調査内容は、以下の通りである。 ○2017年6月(約3週間)に、マケドニア(スコピエ、オフリド、ストゥルミッツァ)、アルバニア(サランダ、ベラト)、ギリシャ(カストリア、アルタ、アテネ)、トルコ・イスタンブール、およびこれらの近郊において、約30棟の教会堂の現地調査を実施した。写真・動画撮影・平面実測を中心に、当該地域における遺構の状況を把握するとともに、半数以上の遺構ではこれまでの既往研究では不明だったその内部架構の詳細を確認した。 このような調査から得られた写真データ、および実測データに基づく平面図から、遺構ごとに建築外部構成・内部構成の整理を進めた。調査データを基に、これまでのデータベースを更新し、創建年代不明の遺構についてはその推定を行った。 更新したデータベースをもとに、中期ビザンツ内接十字型教会堂の建築構成を整理すると共に、その変遷について分析を行った。 上記の調査ならびに研究成果の一部を、2017年度日本建築学大会において報告すると共に、その結果を日本建築学会計画系論文集へ投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査に関して、本年度は研究計画に従いつつギリシャ・マケドニア・アルバニアトルコを対象地域とした現地調査を1回実施した。申請時は二回に亘っての調査としていたが、日程を改めた上で一度で全ての調査を行った。本年度の調査では、これまで進めてきた中期ビザンツの内接十字型教会堂を中心に調査を行い、その建築構成を比較してその変遷を明らかにするためのデータを拡充でき、当初の計画どおり順調に進展しているといえる。 これまで、および本年度の調査で得られたデータを基づいて、予定通り内接十字型の建築構成の分析を着実に進めており、その変遷についても論文として纏めた。 以上から、現在までの達成度としては「おおむね順調に進展している」と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
・2018年度は、ギリシャの島嶼部およびペロポネソス半島に現存する建築遺構について、2週間程度の調査を行う。調査内容は前年度と同様とし、対象遺構の平面実測図、写真測量図、細部写真等を拡充させるとともに、これまでの検討の精度を向上させる。併せて、大学図書館等で文献史資料の収集を行う。 ・建築構成の地域性のまとめ:内接十字型教会堂の建築構成の変遷に着目した前年度までの検討を踏まえ、それらが地理的にはどのように異なるかについて纏めると共に、その差異をもたらした要因について検討を行う。 ・調査および分析の結果を、各種学会の研究報告会・論文等で随時報告する。
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Research Products
(5 results)