2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J08438
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Research Fellow |
谷岡 優子 関西学院大学, 社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 芸妓 / 地方都市 / 仕事 / 働き方 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究では、各領域において、昭和後期から平成中期にかけての社会情勢の変化とそれが齎した花街・花柳界の衰退、この衰退を阻止するべく各地の花柳界で行われた新たな若手人材育成の取り組み、芸妓の仕事意識、芸妓による邦舞・邦楽の伝承の現状、花街建築の保存状況等の報告が行われてきた。 本研究は、近代的経済志向とは異なる経済志向を持つ社会(花柳界)の行為主体(芸妓)の仕事の変容に焦点を当て、現地調査を進めてきた。芸妓は、行為としての芸と自身をその場に拘束する時間の対価として金銭を受け取り、これを稼業とする。かつて盛況だった頃の花柳界では、芸妓の時間の価値は一律ではなく他の客との競合で倍増するものであり、また、時間は金銭と同じく芸妓に対する贈答物にもなるものだった。客が芸妓の特定の時間を買った上でその時間に芸妓を拘束する権利を放棄し、場所や人に拘束されない時間を芸妓に贈るという「遊び」も存在していた。 しかし、現代の経済志向は上記の遊びを許容しない。たとえ花柳界であっても、誰が/何を/何処で/幾らで購入したのか等、あらゆる情報を明白にしなくてはならない。さらに、衰退以降に花柳界を再活性化のため、客が支払う料金制度の見直しが行なわれ、これらは地域毎に一律化した。芸妓が所属する組織によっては働き方が異なるため、芸妓の労働に支払われる対価報酬が固定給であったり、固定給+出来高であったり、完全出来高となっている。このように、地域によって芸妓の働き方が異なるのも現代の花柳界の特徴である。 現在活動する芸妓と彼女らの労働をマネジメントする組織は、彼女ら自身と、衰退以前の花柳界を経験した芸妓らと、自身を取り巻く経済世界との間で、金銭・時間を始め、絶えざる「仕事」に対する齟齬を調整することが求められていることが、今年度の調査で明らかとなった。今後、これらの成果は学術誌を通じて報告を行う予定である。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)