2017 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on pathogenic mechanisms of cryptocaryoniasis for its control
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17J08497
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 勇歩 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 海産白点虫 / Cryptocaryon irritans / プロテアーゼ / プロテアーゼ阻害剤 / in vitro アッセイ |
Outline of Annual Research Achievements |
海産白点虫Cryptocaryon irritansの各ステージの虫体(感染幼虫、寄生期虫体、シスト期虫体)を用い、次世代シーケンサーによるトランスクリプトーム解析を行い、病原因子候補の選抜を行った。そこで得られた結果から、感染および寄生期虫体において複数のプロテアーゼ遺伝子、特にシステインプロテアーゼおよびセリンプロテアーゼが高発現していることが明らかとなり、本虫の感染および寄生期にそれらのプロテアーゼが重要な役割を持っていることが示唆された。 また、ザイモグラフィーにより寄生期虫体が保有するプロテアーゼの種類を調べたところ、寄生期虫体に顕著にみられるものはセリンプロテアーゼおよびシステインプロテアーゼであった。また、これらのプロテアーゼの至適条件から、セリンプロテアーゼは宿主への侵入および宿主細胞の摂餌、システインプロテアーゼは取り込んだ宿主細胞の消化への関与が考えられた。 さらに、セリンおよびシステインプロテアーゼ阻害剤存在下で海産白点虫のin vitro培養を行ったところ、対象区と比較して、生存率が有意に低下し、虫体の成長が遅れるという傾向がみられた。また、海産白点虫の餌となるFHM細胞を播種せずに培養を行った際には、セリンおよびシステインプロテアーゼ阻害剤添加時と同様の生残率の低下傾向を示した。これらのことからも寄生期虫体のプロテアーゼは宿主細胞の摂餌、消化など寄生期における重要な生態に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トランスクリプトーム解析による病原因子候補の選抜は予定通りに進捗している。また、ザイモグラフィーとin vitroアッセイを用いた病原因子候補の選抜は期待以上に進捗している。さらなる病原因子候補の選抜については、目的遺伝子の完全長の取得および配列の検証を行う必要があるため、進捗が遅れている。これらを総合的に判断し、おおむね順調に進んでいると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
残された研究期間で、選抜した病原因子候補の評価を中心に研究を進める。防除法確立のためのワクチンや薬剤の有効性評価については、病原因子候補をさらに選抜したのちに行うこととする。
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