2017 Fiscal Year Annual Research Report
イロカノ語オノマトペの意味特性の解明と視聴覚コーパスの構築
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17J08516
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 恭裕 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 言語学 / 記述言語学 / イロカノ語 / オノマトペ / 音韻論 / 時間指示の意味論 / フィリピン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は海外現地調査をできなかったが、これまでの現地調査で得られたイロカノ語北部方言のデータを整理した。研究業績として国内学会や研究会において口頭での研究発表を5件行い、2編の研究論文を公刊した。 (1) 研究 前年度までにフィリピン共和国イロコス・ノルテ州ラワグ市で行なった現地調査によって収集したデータを整理しデータベースの構築を行なった。その上で本年度はイロカノ語北部方言の音韻分析および時間表現の文法記述を行った。 (2) 成果 本年度は、国内学会や研究会において5件の口頭による研究発表を行い、2編の研究論文を公刊した。またさらに1編の研究論文が近刊である。本年度の成果で重要なものとして、まずイロカノ語の音韻体系の記述が挙げられる。具体的にはイロカノ語の音素目録について新しい見解を提示し、声門閉鎖音の音素性は環境に依存することを示した。またイロカノ語の強勢はこれまで語彙的に指定されるものと考えられてきたが、本研究は規則により強勢の分布が予測できることを示した。加えて、イロカノ語には二重母音が存在しないということ、共時的な音韻変化の記述には少なくとも3つの音韻語を想定する必要があることを示し、音韻変化に対しては音節構造により説明が与えられることを議論した。イロカノ語の時間表現の文法記述を行なったことも重要な成果である。本研究は、イロカノ語が文法範疇としての時制を持たず、アスペクトのみを範列的に表現することを厳密な手順により明らかにした。上記の研究成果はオノマトペの特性の理解に関わるものであり、オノマトペを言語の文法の中に位置付けて研究する上で重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に即してこれまで収集した一次資料に基づきイロカノ語の文法の様々な点について記述を行い、主要な課題であるオノマトペについて言語全体の仕組みの中に位置づけて分析を行うことができた。その研究成果を国内学会及び論文の出版により速やかに公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の計画に即してイロカノ語の調査を行う。一次資料を電子化してデータベースを拡充し、分析を施す。得られた成果を国内外の学会にて発表し、論文を執筆、刊行する。
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