2018 Fiscal Year Annual Research Report
河川水のストロンチウム同位体比分布図に基づいた淡水魚移動履歴研究手法の開発
Project/Area Number |
17J08692
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
札本 果 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | ストロンチウム同位体比 / 耳石 / トゲウオ |
Outline of Annual Research Achievements |
野生の魚類の行動パターンや生息範囲を明らかにすることは、その生態や生態系における役割を理解し、適切な管理を行うために不可欠である。河川水のストロンチウム同位体比の地理的な分布と、生息環境由来のストロンチウム同位体比値が生涯にかけて反映される魚類の耳石という硬組織を用いて行う研究手法は、魚類の生涯にわたる移動履歴を復元できる有力な手法だ。本研究課題では、主に河川の淡水域で使われてきたこの手法を用いて、汽水域にも生息するトゲウオ科の特徴的な回遊行動や生息範囲を明らかにする研究を行った。 本年度は、北海道厚岸湾沿岸域の汐見川の淡水~汽水域に生息するトゲウオ科イトヨ属イトヨを対象に研究を行った。この河川には、海と河川間を回遊する遡河型と河川残留型のイトヨが同所的に生息していると考えられているが、回遊のタイミングや異なる生活史型間の河川内での生息範囲の違い等、未解明な点は多い。そこで、耳石の解析からそれらの生息範囲や行動の違いを検証した。 まず、同所的あるいは異所的に生息する2つの生活史型のイトヨおよびニホンイトヨ(イトヨ属の遡河型のみの種)の耳石の重さと形態を比較した。結果、遡河型であると確認された個体は、体長に対する耳石の重さや、耳石の形態に関して残留型と思われる個体とは異なる点がみられた。これは、回遊行動の有無を反映していると考えられ、今後の詳細な比較の必要性が明らかとなった。 次に、イトヨの汽水~海水間の移動履歴を調べるために、分析精度の高いTIMSによるストロンチウム同位体比分析を検討した。マイクロミルを用いて耳石切片の微小領域の切削し、試料回収を試みたが、イトヨの耳石が小さく、形態の個体差も大きかったため、全ての耳石に対して割らずに統一的な領域を切削することは難しく、方法を検討する必要がある。この課題点を解決できれば、イトヨの回遊行動に関する重要な知見を得ることができるだろう。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)