2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the formative process of agency and care based on relation in ECEC
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17J08823
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 雄太 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 集団一斉活動場面 / 4歳児 / 参加 / 主体 / ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度収集した私立幼稚園1園での4歳児集団一斉活動場面に関する、1) 担任保育者の期別言動表出の検討、2) 1)と担任保育者の期別振り返り(語り)との比較検討、3) 4歳児保育者4名の意識調査と対話を通した個々の意識の変容の検討、4)“リズム活動”での幼児(全体)の表出の検討、5) 活動に積極的に参加する幼児(個)の他者性を意識した期別の言語表出の変容を検討し、発表を行った。 上記検討の結果、1) 担任保育者は“子どもの視点”“クラスの混乱”に課題を感じるが、語りを通して、子どもの表出に合わせた活動展開への配慮と子どもの発話の宛先の時期別変化の二点に保育者が気づき、課題に肯定的に向き合うようになる過程が示された。2) 保育者の情動支援、クラス運営、教育支援の3領域9項目から798事例を抽出。3期を通して“関係をつなぐ”“クラスの混乱への対処”に関わる傾向が高く、語りと実際の対応の関連が示された。3) 4歳児担任は“子どもの育ち”“援助の困難感や葛藤とその解決方略”を共通して意識するが、幼児の問題行動に関しては保育者の価値観によって意見が分かれることが示された。4) リズム遊び活動の幼児の言動から10の発話特徴カテゴリー603事例を抽出・検討。“単純発話”が常に高いが、複雑な発話“推測”“応答希求”“意味提示”は時期を経る毎に展開され、より集団を意識した表出がなされることが示された。5) 活動に積極的に参加する幼児2名の他者を意識した言動から6の言動特徴カテゴリー204事例を抽出・検討。3期を通して“受容・尊重”を意識する発話傾向が示された。中でも、他者の認識は、自他の違いを二項関係の中で知る段階、三項関係の中で認識を広げる段階、自己省察の中で認識を広げる段階があることが示された。 今後、上記を論文化する。また、継続して4歳児保育者へのインタビューを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度実施予定であった4歳児集団一斉活動場面での保育者の意識と子どもの全体の活動・個々の活動それぞれの表出について、学会発表を行ったことに加え、保育者の意識は追加調査を行い、一定の知見を得ることができた。博士論文の核となる発表の大半を終えたことで、今後論文化する土台を構築することができたものの、それぞれの発表の論文化を並行して進めることができなかったため、「やや遅れている」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は最終年度となるため、これまでに実施した調査等の結果を投稿していく。また、博士論文の骨子の一つである、幼児(個)の検討のうち、“活動に参加するが積極性が見られない子”“活動にほとんど参加しない子”の検討を行い、発表と論文化を行う。保育者の意識調査は、昨年度に引き続き今年度も継続して実施することで、集団一斉活動場面の保育者の意識を縦断的に検討する。 これらの検討を進めていくことで、4歳児集団一斉活動場面の実態をより詳細に明らかにするとともに、博士論文の執筆に取り掛かる。
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Research Products
(7 results)