2018 Fiscal Year Annual Research Report
中世和歌の研究―百首歌としての『千五百番歌合』を始発点として―
Project/Area Number |
17J08845
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 光加里 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 千五百番歌合 / 和歌 / 中世和歌 / 新古今和歌集 / 百首歌 / 歌合 |
Outline of Annual Research Achievements |
『千五百番歌合』は総勢30人がそれぞれ100首ずつ詠んだ和歌を歌合につがえた、和歌史上空前絶後の規模の歌合である。藤原定家など当時を代表する歌人から、後進の若手まで幅広い歌人が集結した本作は、歌人研究、歌壇研究に大きく貢献するものである。『新古今和歌集』同様後鳥羽院の下命のもとに成立した作品であり、『新古今和歌集』の成立に与えた影響も大きい。しかしながら、本作はその巨大さゆえにいまだ研究が十分には進んでいない。そこで本研究では、『千五百番歌合』を個々の歌人の作品(百首歌)の集合体と捉え、その全体像と多様性を明かすことを目標に、30人の作品を横断的に検討する計画を立てた。さらに歌合としての検討と百首歌としての検討、両面からの考察を行うことで、この複雑な作品の全体像を図式化せずに捉えることを目指した。 『千五百番歌合』は一般の歌合とは異なり、十人の判者が300首ずつ分担して勝負・優劣の判定を行っている。そのためか、形式上実に多様な性質の判詞を備える歌合として知られているが、今年度はそれぞれの判者の狙いを文体、表現のありかたから考えた。 百首歌として検討する際には、春・夏・秋・冬・祝・恋・雑の構造にまず着目する必要がある。前年度に恋・雑部の検討を中心に据えた検討を行った結果、『千五百番歌合』に特徴的な、多量かつ特異な古典作品の摂取がみられることを見出した。本年度はこれに基づき『千五百番歌合』の古典摂取、そしてそれを大きな撰集資料とする『新古今和歌集』の古典摂取のあり方に、下命者後鳥羽院がおよぼした影響について考察した。 歌人単位の検討を行う中では、後鳥羽院時代に大きな影響力を持った権門歌人、源通親を特にとりあげ、その古典摂取のあり方について検討するとともに、彼の歌を論じる判者顕昭の批評の表現についても論じた。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)