2017 Fiscal Year Annual Research Report
高機能熱電デバイス設計のためのトポロジー最適設計法の構築
Project/Area Number |
17J09036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古田 幸三 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 構造最適化 / 微視系熱伝導 / 微視構造 / レベルセット法 / ボルツマン輸送方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,微視構造に着目することで,従来に無い材料特性を伴った高機能熱電デバイス設計のための最適設計法を構築する.本研究は,従来の最適設計法で扱われてこなかったサブミクロン,ナノメートルオーダーと呼ばれるような微視構造に着目するものであり,本研究課題を達成するためには,微視構造内特有の熱伝導を考慮した最適設計法の構築が必要不可欠となる.微視構造内における熱伝導の特徴として,巨視系熱伝導がフーリエ則に従う拡散的な熱伝導であるのに対し,微視系では熱が弾道的に伝導し,微視構造内の材料界面において温度が不連続となることが挙げられる.このような微視系熱伝導問題の数値解析手法にボルツマン輸送方程式に基づくものがあり,本研究にも本方程式に基づく最適設計法の構築を行っていく. 本年度は主に,ボルツマン輸送方程式に基づく微視系熱伝導問題を対象とした設計感度解析手法の構築を行った.まず初めに,最も単純な温度最小化を目的とした最適化問題を対象とした感度解析手法の構築を行い,その後,実際の熱電デバイスの高性能化を達成するために,熱伝導率最小化も考慮可能な,より一般的な感度解析手法の構築を行い,数値例を通し,本提案手法が微視系熱伝導問題の最適設計法構築に有効であることを確認した. そして,現在,この感度解析手法をもとに,レベルセット法に基づく構造最適化法の構築に取り組んでいる.レベルセット法を用いることで,従来の密度法に基づく構造最適化では扱うことが難しかった,構造界面における影響を考慮しながら最適化を行うことができる.そのため,本手法は材料界面において温度が不連続となる微視系熱伝導問題を対象とした構造最適化に最も適した手法の一つである.本手法に基づく構造最適化法の構築を現在取り組んでおり,ベンチマークとなる温度最小化を目的とした構造最適化については数値例を通し妥当性の検証を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
微視構造に着目した構造最適化法構築のためには,材料界面の不連続性を考慮した設計感度の導出が必要不可欠となる.これに対し本年度は,微視系熱伝導問題を対象とした設計感度解析手法の構築を行った.本提案手法により,微視構造内の熱設計において最も重要な界面での温度の不連続性を考慮し最適設計法を構築することが可能となった.そして,本提案手法およびレベルセット法に基づく微視系熱伝導問題を対象とした構造最適設計法の構築を現在行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,微視構造における熱伝導問題を対象とした構造最適設計法の構築を行ってきたが,今後は,本研究課題を遂行するために,本提案手法を微視系電気伝導問題への設計問題,微視構造における熱・電気伝導のマルチフィジクス問題への拡張を行う予定である.これらの問題は全てボルツマン輸送方程式に基づいたものであり,今年度得られた知見をもとに拡張可能であると考えられる.
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