2018 Fiscal Year Annual Research Report
粒子フィルタと機械学習を用いた資産運用に関する研究
Project/Area Number |
17J09127
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中野 雅史 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | 粒子フィルタ / 投資 / 機械学習 / 状態空間モデル / ファジィシステム / 深層学習 / ファイナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究者は、深層学習によって優れた人工知能(Artificial neural network, ANN)を構築することで、ビットコインの価格系列予測が可能となることを”Bitcoin technical trading with artificial neural network”において発見した。具体的には、ANNのインプットとして実務上よく使われている指標を採用して、ビットコインの価格変動のクラス分類問題に取り組んだ。本論文は、Physica A: Statistical Mechanics and its Applicationsという査読付き国際学会誌にアクセプトされている。また、人間が普段さりげなく行う総合的・多層的な意思決定過程を計算機上で実現するFuzzy Systemに対する新しい学習手法を、”State Space Approach to Adaptive Fuzzy Modeling for Financial Investment”において提案した。Fuzzy Systemには様々な既存の学習手法が存在するが、その多くは静的な環境を想定したものである。そこで研究者は,Fuzzy Systemの学習を状態空間モデルにおける状態推定の問題として再解釈することにより、動的環境下での適応的学習が可能となることを示した。具体的な応用例として、target return replication portfolioを構成するファジィシステムが構築できることを示した。この論文は、現在Applied Soft Computingという査読付き国際学会誌に投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究者は、国民の資産形成強化に寄与するために,粒子フィルタという統計的手法や,近年隆盛しつつある機械学習の手法を用いることにより,優れた資産運用手法を開発する研究を行った。結果として、平成30年度は1本の論文が査読付き国際論文誌にアクセプトされるという結果を得ることができた。これは、おおむね順調に進展しているといえるだろう。さらに研究者は, 深層学習により学習される特徴が、効率的なポートフォリオ構築につながるのではないか、という研究も鋭意進めている。順調に進めば、この”Discovery of New Factor and its application to portfolio management” (working title)は、2019年度中に発表できると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究者は今後も、粒子フィルタと機械学習を用いた資産運用に関する研究を引き続き行っていく予定である。 特に、2019年度は機械学習の中でもより深層学習に重点を置いて研究を進める予定である。近年、理論的裏付けはまだ不十分ではあるが、深層学習が最適制御問題に非常に有効であるということが判明しつつある。ファイナンスの分野でも数多く登場するこれらの問題は、通常多次元の非線形偏微分方程式へと帰着されるが、既存の手法では解析解を求めるのはもちろん、数値的に求めるのも非常に困難であった。しかしながら現在、深層学習という全く新しいアプローチによってこの問題は解決されつつある。他に先んじてこの手法を、ファイナンス上重要であった未解決問題に応用し、部分的にもその問題を解決することで、数量ファイナンスの発展に寄与したいと考えている。
|