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2018 Fiscal Year Annual Research Report

代謝の相互作用から見るシアノバクテリアから陸上植物の葉緑体までの進化

Research Project

Project/Area Number 17J09234
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

三角 将洋  早稲田大学, 先進理工学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2020-03-31
Keywords光合成 / 光合成電子伝達 / 代謝 / 葉緑体呼吸 / 進化
Outline of Annual Research Achievements

原核生物であるシアノバクテリアから真核藻類の葉緑体へとオルガネラ化し、陸上植物の葉緑体になる進化の流れにおいて、光合成反応中心は強く保存されているが、オルガネラ化する過程において呼吸鎖は失われるなど、代謝の有り様は大きく変化している。特にシアノバクテリアや一部の真核藻類では、呼吸の光合成への大きな影響が見られる一方で、陸上植物では種によらず見ることができない。つまり、呼吸の光合成への影響は光合成生物の進化の過程に係わるような重要な生理学的意義が存在している可能性があり、これを解明することを目標としている。
昨年度は真核藻類における呼吸の光合成への影響についての解明を試みた。真核藻類の葉緑体では、呼吸鎖の代わりに葉緑体呼吸と呼ばれる代替経路が光合成に影響を与えていることが知られている。しかしその影響の大きさは種によって異なる可能性があることに加え、研究グループによって同一の種でも結果が大きく異なるなど混沌としており、これは培養条件の違いによるものであると考えた。これを検証するために、モデル生物である緑藻クラミドモナスを用いてクロロフィル蛍光測定を用いて検討を行ったところ、細胞に強い光を長時間照射した場合にのみ、葉緑体呼吸の光合成への大きな影響が見られた。これは細胞内の光合成産物量が関係していると考えられる。この結果により、葉緑体呼吸の光合成に与える影響の生理学的意義として、強光が関係していることが示唆された。また、特に強光で生育した株の場合は、葉緑体呼吸の光合成への影響を考慮する必要があることが明らかとなったため、クロロフィル蛍光測定を用いた、真核藻類に対する正確な光合成測定方法の確立に本研究は寄与している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度はシアノバクテリアの変異体を用いた解析によって、呼吸の光合成に与える影響の生理学的意義の直接的な解明を試みた。シアノバクテリアにおける呼吸が光合成に与える影響は光化学系間のエネルギー分配を調節する機構であるステート遷移を介して行われるため、ステート遷移能の欠損株を作製し、実験に用いた。しかしシアノバクテリアはステート遷移能を欠損したことによる副作用が大きく、解析が困難であることがわかった。
そのため昨年度は真核藻類である緑藻クラミドモナスに切り替え、真核藻類における葉緑体呼吸の光合成への影響の生理学的意義の解明を目指した。その結果、培養条件によって、葉緑体呼吸の光合成への影響の大きさが変化することがわかり、特に培地における有機物の有無よりも、強光を長時間照射した場合で大きくなることが明らかとなった。つまり、細胞内の光合成産物量が関係していると考えられる。またステート遷移能を欠損した変異株を用いたところ、強光を長時間照射した場合でも、葉緑体呼吸の光合成への影響が見られないことから、シアノバクテリアと同様に、主にステート遷移を介した応答であることが考えられた。この結果から、葉緑体呼吸の光合成への影響の生理学的意義の理解が進んだことに加え、特にクラミドモナスに対する正確なクロロフィル蛍光測定法に貢献していると考え、International Symposium on Photosynthesis and Chloroplast Biogenesis 2018、第60回日本植物生理学会年会にて発表を行うなど、おおむね順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

昨年度より進めている(1)緑藻のモデル生物であるクラミドモナスを用いて、代謝、特に葉緑体呼吸から光合成に与える影響の大きさを変化させる要因の解明の継続、そして(2)真核藻類では葉緑体呼吸の光合成に与える大きな影響が見られる一方で、陸上植物では見ることができない理由の解明を行う。(1)、(2)の2つを解明することは、代謝である葉緑体呼吸が光合成に影響を与えることの「生理学的意義の理解」に繋がると考えている。
(1)に関しては、昨年度の結果から、細胞内の光合成産物量が大きな要因となっていること、また葉緑体呼吸の光合成への影響が、主にステート遷移を介して行われていると考えられれる。本年度の初めに熱放散系の変異体を含めた解析を行い、昨年度の結果と加えて論文にまとめることを考えている。(2)に関しては、(1)の研究を通してモデル生物であるクラミドモナスでの理解が進んだので、進化の系統樹と照らし合わせつつ、非モデル生物を含めた様々な種を用いた解析を行う予定である。特に緑藻から陸上植物までの進化の過程において、どのタイミングで葉緑体呼吸の光合成への大きな影響が消失したのか、またなぜ消失することとなったのかを調べていく。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019 2018 Other

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] 暗所でも見られるクラミドモナスの非光化学消光は有機炭素源の有無よりも培養光強度により影響を受ける2019

    • Author(s)
      三角将洋、園池公毅
    • Organizer
      第60回日本植物生理学会年会
  • [Presentation] Reevaluation of the method to determine maximum quantum yield of photosystem II in Chlamydomonas reinhardtii2018

    • Author(s)
      三角将洋、園池公毅
    • Organizer
      International Symposium on Photosynthesis and Chloroplast Biogenesis 2018
    • Int'l Joint Research
  • [Remarks] 暗所でも光合成もっとも原始的な藻類・灰色藻が明らかにする藻類の驚くべき進化

    • URL

      https://www.waseda.jp/top/news/50221

URL: 

Published: 2019-12-27  

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