2017 Fiscal Year Annual Research Report
機能亢進された水素移動触媒による難還元性化合物の加水素分解
Project/Area Number |
17J09484
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松並 明日香 東京工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
|
Keywords | イリジウム / 水素移動 / 協奏機能触媒 / 水素化脱フッ素化 / 芳香族フッ素化合物 / 水素発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)芳香族フッ素化合物の水素移動型水素化脱フッ素化反応 水素移動還元条件下,ベンジリックアミン配位子を有する協奏機能イリジウム錯体を種々の電子不足芳香族パーフルオロ化合物に作用させると,温和な条件下,水素化脱フッ素化反応が高効率かつ高位置選択的に進行した(ACS Catal. 2016, 6, 5181-5185.)。このとき,ギ酸塩,2-プロパノール,エタノールが還元剤として使用できることを確認した上,反応後の脱離したフッ素をフッ化物塩の形で回収し,従来用いられてきたヒドロシランを還元剤とする反応系に代わる,安全性・経済性に優れた合理的な触媒系であることを証明した。 また,基質の置換基の種類や位置が反応性と選択性に及ぼす影響を検証した結果,本触媒系が芳香族求核置換反応のメカニズムで合理的に説明できることがわかった。実際,触媒分子の求核性向上をもたらす構造修飾としてベンジリックアミン配位子に電子供与性のメトキシ置換基を導入したところ,より高活性な触媒として機能した。 (2)触媒的ギ酸分解による水素発生反応 水素エネルギー利用における安全な水素キャリア開発の観点から,ギ酸分解触媒を開発している。先行研究として開発したギ酸分解触媒は反応後期,または高温条件での反応失速が顕著であったため,本研究ではその失速過程を調べたところ,配位子骨格に含まれるフェニル基上の炭素-水素結合が切れ,錯体がシクロメタル化していることがわかった。シクロメタル化後の錯体を単離し,別途反応に用いると触媒の初期活性が著しく低下することがわかった。そこでシクロメタル化による触媒失活を抑制するために,配位子骨格にフェニル基をもたない類似錯体を新たに合成し,反応に適用すると,反応初期の高活性を維持する,耐久性の高い触媒として機能することがわかった(ACS Catal. 2017, 7, 4479-4484.)
|
Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|