2019 Fiscal Year Annual Research Report
フランスの現代思想家ジル・ドゥルーズの存在論と超越論哲学の比較研究
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17J09606
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
浅野 修平 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 哲学 / ドゥルーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度研究員は、前年度に引き続き、ドゥルーズがポスト・カントからのカント批判を十分に踏まえつつも、独自の仕方で批判哲学を書き換えることで、カントの真の後継者であるニーチェ=ドゥルーズ哲学を構築していることを示す、という課題に取り組んだ。前年度までの成果として、ドゥルーズ哲学におけるカントとニーチェをつなぐ思想家としてスピノザの重要性を浮き彫りにし、ドゥルーズ自身明示的には描いていないものの、カント-スピノザ-ニーチェの系譜がドゥルーズ哲学の中に存在していることを示し、ニーチェ=ドゥルーズの哲学が自ずと明らかになるように諸々の哲学を解釈することで、諸々の哲学を自身の哲学へと接続するといった、ドゥルーズ独自の哲学のスタイル、つまりドゥルーズ哲学における歴史哲学の面を浮き彫りにしていた。 今年度はドゥルーズ哲学の中での「歴史」概念の重要性を踏まえつつ、同じく「歴史」概念に大きな重要性を与えているヘーゲル哲学との比較検討を行った。その前提作業としてフランスにおけるヘーゲル受容を精査した。その中で①ドゥルーズが批判の矛先を向ける「ヘーゲルの哲学」が、コジェーズやマルクスによって提示されたヘーゲル像、つまり人間的ヘーゲル(『現象学』)と言うよりかは、『論理と実存』でイポリットが描いた「全体性と体系の哲学」としてのヘーゲルの哲学であったということ、②またヘーゲルが《論理》の内に《実存》を包摂することに失敗し、そのため『論理学』の試みが破綻してしまっているとした『論理と実存』でのイポリットの主張を踏まえ、ドゥルーズがヘーゲルの矛盾=差異を根拠づける『論理学』に代えて、《実存》を包摂することのできる新たな体系、つまり純粋差異の存在論を構築することを目論んだこと、以上二点を明らかにすることができた。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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