2019 Fiscal Year Annual Research Report
野生ニシローランドゴリラの父性行動から探る学習の情報源としての父親
Project/Area Number |
17J09672
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田村 大也 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | ニシローランドゴリラ / 父性 / 父子関係 / 人類進化 / 大型類人猿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象種であるニシローランドゴリラ(Gorilla gorilla gorilla)は、一般的に単雄複雌群を形成し、群れに一頭の成熟したオスである「シルバーバック」がメスとの交尾を独占する。そのため、シルバーバックは極めて高い「父性の確かさ」に基づいて、群れで産まれた子供に対し、親和的交渉や子殺し・捕食からの保護など父性行動を示す。このような父子関係が見られるのは、ヒトに近縁な大型類人猿の中でもゴリラ属のみである。そのためゴリラの父子関係について理解を深めることは、ヒトの社会を特徴づける性質の一つである「父性の確立」の起源の解明につながると考えられる。 本年度はガボン共和国ムカラバ-ドゥドゥ国立公園にて、7月~12月の約6ヶ月間の現地調査を行った。現地では、野生ニシローランドゴリラの一群である「ニダイ群」を対象に、シルバーバックと未成熟個体間で見られる社会交渉の行動データを収集した。現在この群は、シルバーバックと血縁のある未成熟個体と血縁のない未成熟個体が同じ群れに在籍するという特異的な状況にある。そこで、血縁の有無による社会交渉の相違を検討した。 調査の結果、昨年度に収集したデータと比較すると、血縁の有無に関わらず、すべての未成熟個体でシルバーバックとの5m以内の近接頻度(ゴリラ研究における個体間の親密さの指標)が増加していた。この結果は、非血縁個体でもシルバーバックとの群れでの共在籍期間が長くなるにつれ、シルバーバックとの親和性が高くなることを示している。すなわち、ニシローランドゴリラで見られる親和的な父子(オス-未成熟個体)関係は、従来考えられていた「高い父性の確かさ」のみに裏付けられているわけではないことを示唆している。
|
Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|