2018 Fiscal Year Annual Research Report
弥生・古墳時代移行期における集団関係―近江地域をモデルとした総合的研究―
Project/Area Number |
17J09682
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 優介 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
|
Keywords | 弥生時代後期 / 古墳時代 / 移行期 / 土器 / 近江系土器 / 朝鮮半島 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度も計画に沿って研究を着実に進展させることができた。具体的には、平成29年度の実績報告において「今後の研究の推進方針」として掲げた1.土器および金属器の集成作業の補足、2.実見調査の継続、3.「近江系土器」出土遺跡を対象とした建物遺構および墳墓遺構の集成、4.全体の総括、の四つの作業を基軸に研究を進めた。なかでも、本課題において最も重要な対象資料である土器の分析に関して十分な成果をあげた。 前年度から実施してきた「近江系土器」の実見観察調査には、平成30年度も必要に応じて十分な時間と費用を費やした。全国各地の遺跡出土土器について、実際に収蔵施設へ足を運び綿密な調査を実施した。調査成果の一部は、近畿弥生の会において「滋賀県における弥生時代後期前葉の土器様相と愛知県八王子遺跡資料の比較」として発表した。 発表では、愛知県八王子遺跡出土の近江地域の特徴を示す土器について、器種構成、土器の調整技法、土器の胎土などの観点から分析を加えた。その結果、外部から搬入された可能性の高い例が甕形土器類に多いことを、複数の根拠を示して明らかにした。そして、八王子遺跡例のような近江地域の影響を強く受けた土器群の存在を契機として、その後の時期に、近江地域の特徴を示す土器が周辺地域の多くの遺跡で確認される現象が生じたことを示唆した。これは、本課題において、近江地域の集団との交流関係を理解するための一つの指標として申請者が用いた、「近江系土器」の出現原理を理解するうえで重要な成果といえる。 土器の分析に関しては、さらに、大韓民国(以下:韓国)における調査を実施したという点について、研究を大きく進展させたとして評価できる。釜山広域市、金海市、泗川市の遺跡から出土した弥生系土器を、現地で丹念に調査して理解を深めたとともに、韓国の研究者と意見交換等をおこない、本課題に関する重要な知見を得られた。
|
Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(1 results)