2017 Fiscal Year Annual Research Report
α,α-二置換アミノ酸を基質とする非リボソームペプチド合成酵素の探索と構造解析
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17J09750
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
曽根 薫 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 非リボソームペプチド / 非リボソームペプチド合成酵素 / 放線菌 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、放線菌が生産する天然物JBIR-34 -35の生合成に関与する非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)であるFmoA3を主な研究材料として、そのin vitro機能解析とX線結晶構造解析を行なった。まず、FmoA3およびその関連酵素であるFmoA2に部位特異的変異を導入し、それぞれのヘテロ環化(Cy)ドメインを不活性化した。変異酵素を用いたin vitro実験の結果、FmoA2のCyドメインはペプチド結合形成のみを、FmoA3のCyドメインは脱水環化のみを触媒することが判明した。 また、FmoA3のX線結晶構造解析により、Cy-A-PCPのドメイン構成をもつNRPSの全体構造が明らかになった。その構造では、前例のない位置にPCPドメインが配置されていたが、この配置はFmoA3に特有の機能と関係していると考えられる。また、同解析によって、脱水環化のみを触媒するCyドメインの構造が明らかになった。その構造では、Cyドメインのトンネルの入り口の一方が狭くなっていたことから、脱水環化のみを触媒するというin vitro実験の結果が裏付けられた。さらに、活性化されたα,α-二置換アミノ酸(α,α-methyl-L-serine)とFmoA3の複合体の結晶構造を解析したところ、その基質認識機構に関する重要なデータが得られた。部位特異変異導入実験の結果と併せると、FmoA3は特定の位置のアミノ酸残基ととしてサイズの小さなAla残基を採用することにより、α,α-methyl-L-serineのα-メチル基を収納するスペースを基質ポケット内に作り出していることが示唆された。 加えて、Streptomyces cirratusのゲノムを解読し、α,α-二置換アミノ酸含有天然物antrimycinの生合成遺伝子クラスターを同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部達成できなかった研究計画もあるが、他の部分において研究計画以上の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
FmoA3のPCPドメインにヘテロ環を含有するジペプチドをロードしたもののX線結晶構造を解析することで、ヘテロ環化(Cy)ドメインによる脱水環化機構の分子メカニズムを明らかにする。また、ロードを行なった際に、ヘテロ環の開環反応が起こるかどうかをin vitro実験により確かめる。さらに、antrimycinの生合成関連酵素(特に、α,α-二置換アミノ酸合成酵素およびNRPS)の活性をin vitro実験などにより試験する。
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Research Products
(2 results)