2017 Fiscal Year Annual Research Report
微小環境を伴うヒト膵癌三次元組織創出に基づく革新的薬剤評価系の構築
Project/Area Number |
17J09825
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
奥田 諒 横浜市立大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 膵癌 / 癌微小環境 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
当特別研究員は、既存ヒト膵癌細胞株・ヒト間葉系幹細胞(hMSC)、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)より、間質を有するヒト膵癌組織の再構成法を確立し、膵癌オルガノイドは膵癌の治療抵抗性を再現する上で、極めて有益であることを明らかにしている。そこで次なる目標として、実際に膵癌オルガノイドを用いたハイスループットな薬剤スクリーニングを行い、膵癌の新規治療標的の同定を試みる。生体内での薬剤感受性を正確に再現するためには、原発巣中の膵癌細胞との特性の乖離が少ない膵癌細胞を用いる必要がある。この様な状況の中、近年、プライマリヒト膵癌細胞の樹立方法が確立された(Boj F, et al. Cell. 2015)。さらに、当特別研究員はこの方法を改良することにより安定した樹立・拡大培養技術の開発に成功している。本年度はこれまでに確立した膵癌患者由来プライマリ膵癌細胞の樹立方法を元に、複数検体からの樹立によるライブラリー構築およびプライマリ膵癌オルガノイドの創出方法の検討を主に行った。さらに、複数患者に由来するオルガノイドを用いた薬剤評価を行い、患者間の薬剤耐性の層別化するに至っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1. ヒトプライマリ膵癌細胞ライブラリーの構築とプライマリヒト膵癌オルガノイドの再構成に関しては、神奈川県立がんセンターとの共同研究において提供されるヒト膵癌手術摘出検体等よりプライマリ癌細胞の樹立をすすめ、特性を評価した。 2. プライマリヒト膵癌オルガイドの大量創出および薬剤感受性の評価に関しては、樹立されたヒトプライマリ膵癌細胞をストロマ細胞と共培養し、膵癌患者毎にヒト膵癌オルガノイドを再構成した。多量創出のための至適条件の検討を行うとともに、各々の膵癌患者由来癌オルガノイドの薬剤感受性を評価した。また、各患者のプライマリ癌オルガノイドの間で、薬剤感受性に違いがあるか否かを検討し、次年度以降の腫瘍微小環境の実態解明に向けた検討のための予備的知見を得した。
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Strategy for Future Research Activity |
プライマリ膵癌オルガノイドを対象とした腫瘍微小環境の解析に関しては、抗癌剤存在下で培養した膵癌オルガノイド内で残存する各種細胞の遺伝子発現等を明らかにする。マイクロアレイ解析等により、癌オルガノイドにおいて特異的に発現する分子、あるいは、発現抑制を受ける分子を抽出し、治療抵抗性に関与する候補分子の抽出を試みる。また、膵癌オルガノイドのゼノグラフト等を対象として、候補分子の発現検証を行う。これにより、癌オルガノイドの治療抵抗性機構の実態解明を進め、膵癌の新規治療標的の抽出に向けた検討を進める。
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Research Products
(3 results)