2017 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞結合ペプチド高効率探索を実現する操作システムの開発
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17J09926
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
神永 真帆 東京工業大学, 工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロ流路デバイス / ペプチドスクリーニング / バイオMEMS |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) マイクロ流路内におけるペプチドの細胞への結合の効率化 マイクロ流路内におけるペプチドの細胞への結合の効率化に取り組んだ.マイクロ流路内において,ペプチドと細胞の結合効率を上げるためには,細胞とペプチドの距離を近づける必要がある.しかし,安定した細胞培養のためには流路高さを高く設定する必要がある.細胞の安定した培養が可能な流路高さと,細胞とペプチドの結合効率向上を両立する方法として,細胞培養チャンバの流路高さを切り替える方法を提案した.ペプチドと細胞の結合効率を確認するため,ペプチドの回収実験を行った.流路高さ切り替え可能なデバイスにおけるペプチドの回収率は,従来のデバイスと比較して約10倍となった.また,ペプチド探索で重要となる特異的結合ペプチドと非特異結合ぺプチドの比率も,流路高さ切り替え可能なデバイスのほうが高くなった.これにより,流路高さを切り替えることがペプチドと細胞の結合効率を上げるために効果的であることが確認できた. (2) 抗体修飾磁気ビーズを用いた結合力の弱いペプチドの除去 抗体修飾磁気ビーズを用いた,結合力の弱いペプチドの洗浄に取り組んだ.まず,磁気ビーズの導入量の検討を主に行った.細胞培養時にできる細胞培養面の凹凸について,その深さや広さを調査し,それに適応するビーズのサイズを検討した.細胞表面の凹凸は数十マイクロメートルのオーダーであったため, 直径10 μm 以下のビーズが適していることが分かった.抗体修飾磁気ビーズの作成については,生命系の研究者と共に検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ流路内におけるペプチドの細胞への結合の効率化については,想定していたよりも容易に実現することができた.一方,抗体修飾磁気ビーズを用いた結合力の弱いペプチドの除去や,ペプチドを用いたスクリーニング実験等の生物を用いた実験については,本研究室は機械系の研究室であり,特別研究も機械系の出身であるためノウハウが少なく,実験が困難であった.そのため,生命系共同研究者への相談や,講習の受講により実験の成功率向上に取り組む.
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Strategy for Future Research Activity |
前年に引き続き,抗体修飾磁気ビーズを用いた,結合力の弱いペプチドの洗浄に取り組む.前年に行った,細胞培養時にできる細胞培養面の凹凸の調査を元に,使用するビーズのサイズおよび量を決定する.その後,抗体修飾磁気ビーズを用いて,細胞の凹凸部に沈んで洗浄が困難となったファージの回収が可能であるかを確認する.さらに,一定速度で磁気ビーズを駆動するため,シミュレーションにより磁界の分布を検討した上で,電磁石と顕微鏡画像によるセンシングを用いて磁気ビーズの速度制御を行う. さらに,がん細胞スフェロイドを対象とした探索の高効率化に取り組む.がん細胞スフェロイドを対象とした探索の高効率化には,スラグ流を使用することが効果的であることが分かっているが,探索に必要なステップを実現するためには,直径数百マイクロメートルのスフェロイドが通過可能なサイズの流路の開閉を切り替えることができるバルブが必要となる.そこで,本年度は高さの高い流路であっても閉じることができるバルブの開発を行う.また,開発したバルブをデバイスに組み込み,ペプチド探索の原理検証を行う.
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