2018 Fiscal Year Annual Research Report
A cross-dialectal study on the form and the function of Kakarimusubi in Ryukyuan and Hachijoan dialects
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17J10117
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
林 由華 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変異研究領域, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2021-03-31
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Keywords | 係り結び / 焦点構文 / 情報構造 / 述語の焦点特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、I) 琉球諸語および八丈語全体における係り結びの調査研究 II) 宮古語諸方言 における係り結びおよび係り結びに関係する情報構造やモダリティについての記述の精緻化という2つの軸のもとに進めている。 本年度は、まずIに関して、去年度までの成果を基に各方言における結び形の焦点特性と係助詞との関係を中心とした係り結びの類型について学会発表を行った。それを基にさらに奄美語(平田・井之川)、沖縄語(首里・名瀬・津波)、八重山語(宮良)、与那国語、八丈語(大賀郷)において、係助詞の機能とそれに対応する述語形の機能、動詞述語のパラダイムについての調査を進めた。このうち津波について、結び形がないため活用形の交替(呼応)としての係り結びはないが、係り助詞が文末に及ぼす影響があり、それが典型に近い係り結びがある方言と同様のものと考えれられることを示し、次年度初頭に学会発表を行った。 II に関しては、宮古語諸方言で観察される接続形終止用法について、それが中立的な過去形として現れる方言のほか、述語焦点過去形として現れる方言があることを明らかにし、学会発表を行った。また、宮古語諸方言の動詞屈折形態の分析において拡張語幹を認めるかどうかについて、共時的には決定できないが歴史変化を考慮することにより拡張語幹の結束性を認められることを示す学会発表を行った。 また、IやIIを発展させるものとして、焦点助詞をもつ他言語(ソマリ語)と宮古語との対照研究を試み、初期報告として発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたすべての地域での一次~二次調査を済ませ、仮説構築と修正が進んだ。妊娠出産とそれに伴う中断期間のため、予定していた一部の海外での成果発表などを行うことができなかったが、研究としては予定通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に練りこんだ類型化の枠組みに沿って諸方言のデータを補完し、本年度の発表を基にまず琉球諸語諸方言での類型に関しての論文を投稿する。八丈語については琉球諸語と異なる系列の係り結びが発達していることから、個別により詳細な調査を実施し、学会発表を行う。 本年度からの研究中断期間の発生に伴い、次次年度に研究期間が延長される。次次年度には、上記の琉球・八丈の研究成果を統合し、研究のまとめを行う。
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Research Products
(7 results)