2018 Fiscal Year Annual Research Report
組織のフラット化を支えるコミュニケーションと「自己記述」
Project/Area Number |
17J10141
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樋口 あゆみ 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
|
Keywords | 組織エスノグラフィー / 組織社会学 / ニクラス・ルーマン / コミュニケーション / 動機の語彙 / 意味 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に引き続き組織における時間論の研究を継続した。前年度は社会構築的な組織内の時間意識に焦点を当てた。今年度は、その問題意識を引き継ぎつつ、コミュニケーション・システム論的な視座から、時間意識が組織のプロジェクト運営に関わっている点をフィールドワークで得たデータから実証的に論証していくことを試みた。組織の時間論は、とりわけヨーロッパの組織研究において"The New Black"(次の流行)とも言われているトピックであり、海外での成果公表を視野に入れて準備している。 それに加えて企画立案の場面での組織化(チーム編成)や、結果の帰責が、コミュニケーションを介してどのように行われるのかを、社会学的な動機論を下敷きとして解明することを試みた。組織でともに働く人々の「動機」の表明は、互いの行動を理解・承認し、協働していく上で必要不可欠なものである。それと同時に企画の立案から実行の局面では、権力を使った「アサイン」や、インセンティブなど資源を用いた「動員」と同列の、しかし異なる仕方での組織化を可能にする重要な資源のひとつである。これを解明することはフラットな組織運営の中核的課題とも言える。 さらに動機論は社会学理論にとっても行為の理解、行為の帰責という重要な課題に繋がっている。とはいえ従来の社会学の領域では、そのほとんどが個人または二者間のコミュニケーションにおける分析に留まっており、組織内のコミュニケーションに展開して考察された例は少なかった。本年度の研究を進めるなかで、フラットな組織運営の鍵を明らかにするとともに、コミュニケーション理論の組織論的解明にも寄与する視座を発見した。その視座の有効性を具体的に他の事例などを用いて検証することは今後の課題となる。
|
Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(4 results)