2017 Fiscal Year Annual Research Report
固定収益会計による利益安定化-製品市場戦略と業績評価の変更を通して-
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17J10242
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Research Institution | Meiji University |
Research Fellow |
小村 亜唯子 明治大学, 経営学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 固定収益会計 / 利益安定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
固定収益会計は,利益の安定化を目的とする管理会計として開発された。関係性マーケティングを理論的背景として,固定客からの収益(固定収益)の安定性が高いことに着目し,固定収益を増やすことで利益安定化を促す管理会計である。しかし,固定収益会計が,どのように利益の安定化を導くのかというメカニズムの解明が不十分である。そのため,固定収益会計導入後の因果関係を経年データに基づき考察し,固定収益会計の利益安定化メカニズムを明らかにすることを研究目的としている。 「研究課題1:固定収益会計導入後の製品市場戦略の変更→費用構成→利益安定化の関係の分析」については,データコーディングをし,分析モデルを設計して統計解析を行った。「研究課題2:固定収益会計導入後の業績評価の変更→収益構成・費用構成→利益安定化の関係の分析」については,インタビュー調査と社内資料の整理に基づいて,分析モデルを設計した。分析モデルに基づいて,統計解析をした。「研究課題3:製品市場戦略・業績評価の変更→利益安定化の関係の分析」については,現在,調査結果をもとに先行研究の理論に照らし合わせて,分析モデルを設計している途中である。 本研究は,固定収益会計の課題を解決するだけでなく,利益安定化という従来の管理会計にて取り扱われていないが,安定経営や雇用維持の要となる新しい概念を世界に向けて発信する基盤となることから重要であると考えている。2社のリサーチサイトを確保したことや,海外の研究者からのアドバイスをとりつけたことからみて,本研究が実務とアカデミックの両面から非常に特色ある研究であり,新しい研究領域に発展する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リサーチサイトを2社,当初計画通り確保することができた。そして,そのリサーチサイトから,基礎的なデータ収集を行った。具体的には,解析に必要となる顧客アンケート調査と従業員アンケート調査を実施し,アンケート回答データを収集した。加えて,財務データ(製品別費用データ,顧客別取引データ)の提供を取りつけた。このデータをコーディングし,設定した研究課題を明らかにするための統計解析を行い,論文投稿,学会報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
分析モデルの一般妥当性の検証のため,多母集団同時分析などを用いて,2社の経年データを分析し,その結果を比較する。また,研究課題の海外学会での報告と海外ジャーナルへの投稿を行うため,海外共同研究者(Dr. Gurd, 皆ミーオストラリア大学:Dr. Viviani, レンヌ第一大学)との共同研究を進める。
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Research Products
(12 results)