2018 Fiscal Year Annual Research Report
Features of University Administration in Mongolian Higher Education
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17J10387
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
JARGALSAIKHAN Jargalmaa 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | モンゴル / モンゴルの大学 / 大学の管理運営 / 理事会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は民主化以降のモンゴル高等教育における管理運営の特色を明らかにすることを目的とし、以下の3つの観点から構成される。大学の管理運営についての制度的観点からの検討および実態調査・分析(研究①)、大学の在り方の分析(研究②)、モンゴル社会における民主主義の考え方の分析(研究③)である。 本年度は目的に達成するために、研究②を行った。具体的には、社会主義時代や民主主義以降後の大学管理運営について整理し、大学観について文献調査やインタビュー調査をもとに明らかにした。結果、1924年から1990年までの社会主義時代の大学の管理運営の制度は基本的には人民革命党の縦の管理の下を学長が行っていた。その時の大学は党の計画に基づいた人材養成する機関と考えられ、所有者である党の権利を重視すると考えられていた。一方、民主主義時代の大学は社会のものだから、公共性を保つべきという考え方が存在した一方、大学は所有者のものだという市場経済の大前提である所有権を重視した考え方が存在し、後者の考え方が根強くあるため、体制移行後から現在までのほとんどの期間、大学の理事会の構成員は設立者の過半数の参加を求めた形になっていきている。以上のことから、モンゴル国は民主主義への転換を果たしたが、大学の管理運営制度の理事会の構成員に着目すると大学は社会主義時代と同じくマクロなレベルで政府の管轄を維持されるとともに、モンゴルの大学観は依然として所有者の権利を重視され大学は所有者のものだという考え方に根強くあるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、モンゴルの高等教育における管理運営の特色を明らかにすることを目的としている。大学の在り方の分析を行い、①社会主義時代(1924年~1990年)における大学観②民主主義移行後(1990年から現在)の大学観という2点を研究課題として設定してきた。 ①については、1924年から1990年までの社会主義時代における、社会主義期の高等教育管理運営に関して、主な高等教育関連の法的文書の整理や大学の管理運営のあり方について、初の大学であるNUMの規則を分析した。また、社会主義時代に勤務していた、大学の職員、教員、教育大臣の三人の大学の管理運営に関するインタビューを行っている。 ②に関しては1990年から1995年までの理事会の導入を規定された法律やその法的な整備の背景についてまとめた。加えて、理事会の構成員が大きく変更された法的の規定やその考え方について政府の文章や政府関係者からインタビュー調査を行っている。 このようにモンゴルの高等教育の管理運営について、国立大学に焦点を当てて、主として最高意思決定機関である理事会の構成員に着目し、モンゴルの大学の管理運営についての見方を文献調査やインタビュー調査を通じて総合的な考察し、明らかにしている。以上、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究では、モンゴルにおける大学の管理運営制度に反映されている国立大学の管理運営主体に関する見方を明らかにしてきた。今後の研究では、以下の2点について研究を進めていく予定である。 1つ目は、私立大学や国立大学といった設置系統別によって、大学の管理運営主体に関する見方にどのような相違点があるのか、また大学の管理運営制度に多様なアクターが参加しているという点で、そこに反映されているモンゴルにおける民主主義に対する考え方をモンゴルの民主主義についての論文や文献の収集と整理および関係するアクターへの聞き取り調査の実施と分析を行うことで明らかにする。 2つ目は、実態を体系的に理解するための理論的な枠組みの検討である。この点に関して、大学の管理運営(マネジメント)に関するアプローチや、政府や、大学に関係する様々な人々が、大学の意思決定に参加することが民主主義国家の原則として考えられている先行研究がある。今後は、これらの関連する文献の精読をおこない、理論的な枠組みの構築を目指す。
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Research Products
(4 results)