2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17J10390
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤澤 侑也 東京大学, 東京大学大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 発生遺伝 / 細胞密度 / 上皮恒常性 / ショウジョウバエ / ライブイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、生体組織内で「細胞が高密集する領域において細胞死を介した密度調節がなされる」ことが明らかになってきた。しかし、そのメカニズムは明らかにされていない。本研究の目的は「細胞はいかにして機械的な密集状態を感知し、その後の応答として細胞死を実行するのか」を解明することである。その分子メカニズムに関わる因子を網羅的に探索するために、発生過程において密集を起点とした細胞死が起こるショウジョウバエ蛹期の中胸背側(notum)上皮組織を実験系に用いた。ショウジョウバエノックダウン系統を用いた網羅的表現型解析とイメージング解析を行った結果、ある因子の過剰発現によって細胞の排除が抑制されることを見出した。さらにその因子に関する先行研究から、次にその関連因子に着目した。notum上皮においてその関連因子をノックダウンすると、細胞の排除が有意に抑制されることが分かった。この結果は、その関連因子が密集を起点として生じる細胞の排除に必要であることを示している。さらに、notum上皮における密集領域で様々なストレス応答が亢進している結果を得ており、これは高密集によって細胞死に至る機構がいくつかの複合によって実行される可能性を示唆している。今回発見したこれらの結果は、生物に共通の「細胞密度調節による上皮恒常性の制御機構」に広く関わっている可能性を期待させる。今後の展望は、同定した因子の上流および下流で働く因子を明らかにするため、網羅的な遺伝子発現解析と候補因子の探索を同時並行して進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究実施計画に記した通り、ショウジョウバエノックダウン系統を用いた網羅的なスクリーニング解析を実施した。その結果、「密集を起点とする細胞死実行メカニズム」に関わる可能性のある因子を同定した。このように、今後更なる解析を行うための手がかりとなる成果を得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昨年度同定した因子の実質的な寄与を生化学、分子生物学、組織染色学的な手法を組み合わせて詳細に確認する。さらにその因子の上流および下流で働く因子を明らかにするために、網羅的な遺伝子発現解析と候補因子の探索を同時並行して進めていく予定である。
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Research Products
(3 results)