2018 Fiscal Year Annual Research Report
5’非翻訳領域にコードされる、ミトコンドリア局在タンパク質の機能解明
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17J10651
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 仁義 東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | uORF / 上流ORF / 非翻訳領域 / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は主に2つの研究を実施した。 1、ヒト-マウス間でアミノ酸配列が高度に保存されている128種類の上流ORF由来タンパク質(uORFp)をクローニングした。クローニング時には、C末端にGFPを融合させることで、培養細胞内の発現分布を評価できるようにした。共焦点顕微鏡を用い、ヒト培養細胞でのuORFpの局在を評価した結果、GFPの局在を変化させるuORFpが少なくとも61種類存在することが明らかになった。本知見から、これらuORFpが何らかの局在シグナル配列を持ち、局在部位で機能発現をする可能性が考えられた。 2、上記61種類のうち、ヒトから節足動物までその配列が保存されているuORFpを発見し、個体レベルでその影響を調べる準備を進めた。我々が研究対象にしたuORFpは、上記スクリーニングでミトコンドリアに局在を示した。また、配列解析の結果、哺乳類から節足動物間でホモログが存在することが分かった。そのため、前年度は節足動物であるショウジョウバエをモデル生物として、uORFpのノックアウトおよびGFPをノックインした個体の作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度予定していた実験に加えて、そこで得られた実験結果をもとに、モデル動物の作成までに進展した。これまでの成果を以下に上げる。 ・ヒトとマウスの間でアミノ酸配列保存性が高いuORF配列を128個すべての発現プラズミドをクローニングし、その際、uORFのC末端にGFP配列を融合させた。また、これらすべてのプラズミドをヒト培養細胞内で個別に発現させ、GFPの細胞内局在性を共焦点顕微鏡によって評価した。その結果、128個のuORFのうち61個は細胞内局在を示した。これによって、異なる生物種間でアミノ酸配列保存性の高いuORFの多くが、特定の細胞内部位で機能を果たす可能性が示唆された。 ・配列保存性の高いuORF由来のタンパク質のうち、ミトコンドリア局在を示し、哺乳類内だけではなく節足動物にまでホモログが存在するuORFについて、ショウジョウバエを用いた機能解析のための準備を始めた。具体的に、同uORFをゲノム欠損した株、同uORF由来タンパク質のC末端にGFPが融合した形で翻訳されるようゲノム改変した株を作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究結果から、配列保存性の高いuORF由来のタンパク質のうち、ミトコンドリア局在を示し、哺乳類内だけではなく節足動物にまでホモログが存在するuORFについて、ショウジョウバエを用いた機能解析のための準備を始めたことを進捗状況として報告した。今年度の研究方策予定を以下に列挙する。 ・遺伝子改変時にマーカーとして使用したWhite遺伝子を除くため、Cre発現ショウジョウバエと交配を行う。White遺伝子マーカーはloxpに挟まれるように設計してあり、本交配により除去が可能となる。 ・作成したショウジョウバエ(GFPをuORFのC末端に導入した個体)の発生過程で、uORFpがどの組織で発現しているのかを調べることで、uORFpの機能部位を明らかにする。 ・上記で明らかにしたuORFpの組織局在部位の情報を元に、ショウジョウバエを使用した分子生物学的なuORFpの機能解析を行う。現在予定しているのは、プルダウンアッセイおよび免疫沈降法を用いた相互作用相手タンパク質の探索である。 ・上記で明らかにしたuORFpの組織局在部位の情報を元に、KOハエの表現系解析を行う。本uORFpのコードされているmRNAは、ショウジョウバエの遺伝子発現データベースによると、どの組織でも同様に高く発現していることが分かっている。uORFpタンパク質の発現に関しては観察していないが、現時点では表現系解析は、全ての組織に共通して重要な機能(例えば細胞増殖能力等)に関して進めていくことを考えている。
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